JIS安全色

JIS安全色とは

JIS安全色とは、日本産業規格（JIS）によって定められた、安全に関わる情報を伝達するための色の規格です。この規格は、国際規格であるISO 3864に対応しており、安全標識や各種の案内表示において、その視認性を高めることを目的としています。

具体的には、JIS Z9101:2018「図記号−安全色及び安全標識−安全標識及び安全マーキングのデザイン通則」とJIS Z9103:2018「図記号−安全色及び安全標識−安全色の色度座標の範囲及び測定方法」の2つの規格によって詳細が規定されています。JIS Z9101は、国際規格のISO 3864-1:2011と一致していますが、JIS Z9103はISO 3864-4:2011を基に、反射材料、蛍光材料、蓄光材料に関する規定を追加するなど、日本国内の事情に合わせた修正が加えられています。

安全色と対比色

JIS安全色では、以下の6色が「安全色」として定められています。

赤：危険、禁止、火災など
黄赤：注意、警告
黄：注意喚起、障害物
緑：安全、避難、救護
青：指示、情報
赤紫：放射能

これらの安全色を効果的に見せるために、「対比色」として以下の2色が規定されています。

白：安全色の背景色として使用
黒：文字や記号の色として使用

これらの色は、安全標識（JIS Z 9101）のほか、案内用図記号（JIS Z8210）など、さまざまな場面で使用されています。

ユニバーサルデザインカラーの採用

2018年の改正JIS安全色（JIS Z 9103:2018）では、世界に先駆けてユニバーサルデザインカラーが採用されました。これは、3色覚を持つ一般の人だけでなく、1型・2型色覚の人やロービジョンの人など、色覚の多様性を持つ人々にも色の違いが識別しやすいように、各色の値が明度に基づいて調整されていることを意味します。しかし、人種による見え方の違いも考慮する必要があるため、現時点では国際規格であるISO 3864には反映されていません。

また、附属書JCでは、色覚の多様性に関して、従来は「色覚異常」や「色覚障害」という用語が使用されていましたが、これは人類が進化の過程で獲得した多様性の一つであるという考えから、「異常」や「障害」と呼ぶべきではないと注意喚起しています。

安全色の使用例

安全色は、安全標識の一般的事項を規定したJIS Z 9104:2005に準拠して使用されます。また、放射能に関する図記号は、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則」および「ISO 7010 W 003」に規定されています。

改正後のJIS安全色（JIS Z 9101：2018）は、ユニバーサルデザインカラーを採用したことで、より多くの人々にとって見やすい色となり、案内用図記号（JIS Z 8210:2017）やハザードマップなど、様々な場面での活用が期待されています。

注意点

* 図記号の基本形状に使われている色は、2018年改正前の安全色であることに注意が必要です。

まとめ

JIS安全色は、安全に関する情報を効果的に伝達するための重要な規格です。ユニバーサルデザインカラーの採用により、より多くの人々にとって視認性が向上し、安全な社会の実現に貢献することが期待されます。

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