JL-10 (航空機)

教練10型（JL-10）

教練10型、通称「猟鷹」は、中華人民共和国の洪都航空工業集団によって開発された新しいジェット練習機です。この機体は第4世代ジェット戦闘機のパイロットを育成するための次世代高等練習機として位置付けられています。開発の進捗は2001年9月に北京で開催された航空展で初めて公表され、初号機の完成は2005年9月23日で、その約半年後の2006年3月13日に初飛行を果たしました。

教練10型は、従来の練習機とは異なり、新たに設計された機体であり、多くの先進技術が導入されています。特に注目すべき点は、AJT（高等練習機）型とLIFT（戦闘機前段階練習機）型の二つのバリエーションがあることです。AJT型は亜音速の飛行能力を持ち、従来の練習機に適していますが、LIFT型はアフターバーナー付きのエンジンを装備することで音速を突破する能力もあり、より実戦に近い訓練が可能です。

この開発プロジェクトには、ロシアの著名なヤコブレフ設計局が協力しており、その影響からか外観に関してはYak-130との類似点が見られます。搭載エンジンには、当初ロシア製のAI-222Kシリーズや国産のWS-11が検討され、試作機にはDV-2Sが搭載され、次のロットからはAI-222K-25の装備が始まりました。最終的には、量産型には国産エンジン「岷山」が搭載される予定ですが、開発はまだ進行中です。

操縦系統は、教練10型にとって大きな革新点であり、従来の中国製練習機にはなかった4重のデジタル式フライ・バイ・ワイヤが採用されています。このシステムにより、操縦の精度が向上し、パイロットの負担を軽減することが可能です。また、コックピットではグラスコックピットやHOTAS（Hands On Throttle-and-Stick）概念が導入され、現代的な操作性を備えています。

装備面では、主翼下には4か所のハードポイントと主翼端にも空対空ミサイル用のハードポイントが設けられ、LIFT型ではさらにハードポイントが増加する見込みです。これにより、攻撃機としても運用できる柔軟性を持っています。2013年には人民解放軍空軍での採用が決定され、この段階で初めて具体的な配備計画が示されました。

運用国は中国を中心に、ザンビアやアラブ首長国連邦、エチオピアなどが含まれており、いくつかの国で既に発注が行われています。また、洪都航空工業集団は、人民解放軍への納品後、輸出型や単座攻撃型などのさらなる展開も計画しています。

概要

形式にはL-15AW亜音速型、L-15（超音速型）、L-15B軽攻撃機型などがあります。これらの機体はそれぞれ異なる要件に応じた設計がされており、さまざまな運用に対応しています。また、教練10型は基本的に2名の乗員を乗せることができ、全長12.27m、全幅9.48m、全高4.84mと、コンパクトなサイズを有しつつ、最大速度はAJT型でマッハ0.95、LIFT型ではマッハ1.4に達します。

航続距離は2,800 kmで、実用上昇限度は16,000mに達します。これらの性能によって、高い訓練効果と実戦対応能力を兼ね備えた機体として、教練10型は今後ますます注目される存在と言えるでしょう。

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