JL-8 (航空機)

教練8型（JL-8）

教練8型（JL-8）は、南昌飛機製造公司とパキスタンとの協力により開発されたジェット練習機で、その愛称はK-8 カラコルムとして知られています。1986年から開発が始まり、中国人民解放軍空軍のCJ-6やJJ-5の後継機としての役割を担うべく設計されました。型名の“教練”はピン音の頭文字から取られています。

発展の背景

当初、機体はL-8と呼ばれていましたが、パキスタンのジア＝ウル＝ハク大統領の提案により、同国向けにはK-8という名称が与えられ、カラコルム山脈に由来する愛称が付けられました。開発資金は当初民間企業から出資されましたが、後に中国国家予算も投入されることとなりました。

開発協力は中国国家航空技術輸出入公司（CATIC）、南昌飛機製造公司（NAMC）、パキスタン・エアロノーティカル・コンプレックス（PAC）の間で行われ、PACは25%の作業を担当するとされていました。設計はNAMCのチームが行い、イタリアのアエルマッキ社とも共同で風洞実験を実施しました。試作機は5機が発注され、1991年1月には初号機が飛行しました。

機体の特長

教練8型は主翼が低翼配置に設計され、テーパー形状をしています。機体の両側面にはエアインテークが設けられ、また、タンデム式コックピットが段差を持つ設計となっているため、後席からの視界が確保されています。その動力源としてアメリカのギャレット製TFE731を1機搭載し、デジタル燃料制御装置により高い安全性を誇ります。

しかし、1989年の天安門事件による制裁の影響で、米国製部品や機材の輸出が禁止されたため、JL-8は中国製の部品に替えられ、エンジンも旧ソ連のイーウチェンコ製AI-25TLKに変更されています。

教練8型は、兵器訓練や軽攻撃任務にも使用できるよう設計されており、主翼下のハードポイントには最大4箇所を設けており、さらに胴体下にはGSh-23-2機関砲ポッドを装備することも可能です。

配備と輸出

1990年代後半より各国への配備が進み、特にアジアやアフリカ、ラテンアメリカを中心に多くの国に輸出されています。エジプトではライセンス生産が行われ、エジプト軍の曲芸飛行隊でも使用されています。

派生型

教練8型にはいくつかの派生型が存在し、以下のものがあります。

• - K-8: パキスタン向け標準型
• - K-8E: エジプト向けの輸出モデル。
• - K-8P: パキスタン向けの近代化機。
• - K-8V: 可変安定性試験機。
• - JL-8: 中国の空軍向けにAI-25TLKエンジンを搭載した型。
• - L-11: AI-25TLKのライセンス生産型WS-11を採用した教練機。
• - JL-8W (K-8W): ベネズエラやバングラデシュ向けの非米国仕様。
• - JL-8VB (K-8VB): ボリビア向けの非米国仕様。

基本スペック

教練8型の主な諸元は以下の通りです。

• - 乗員: 2名
• - 全長: 11.6 m
• - 全幅: 9.63 m
• - 全高: 4.21 m
• - 翼面積: 17.02 m²
• - 最大離陸重量: 4,332 kg
• - エンジン: ギャレット TFE731-2Aターボファン
• - 最大速度: 800 km/h
• - 実用上昇限度: 13,600 m
• - 航続距離: 1,560 km

教練8型は、優れた性能と多用途性を生かし、今日でも多くの国で採用され続けています。

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