JR北海道ホテルズ

JR北海道ホテルズ

JR北海道ホテルズは、北海道旅客鉄道株式会社（JR北海道）が展開するホテル事業全体を指す名称であり、同時にその中心的な運営を担う企業でもあります。北海道内を中心に展開する多様な宿泊施設を通じて、利用者に快適な滞在を提供しています。本項では、この事業の歴史や現状、そして将来の展望に加え、過去に運営に関与した施設についても記述します。

沿革

JR北海道のホテル事業は、平成11年（1999年）12月3日に「株式会社北海道ジェイ･アール･ホテルズ」として設立されたことから始まります。設立当初の名称から、平成18年（2006年）7月1日には現在の「JR北海道ホテルズ株式会社」へと社名を改称し、企業ブランドをより明確にしました。さらに、平成30年（2018年）4月1日には、当時子会社であった「株式会社北海道JRインマネジメント」を吸収合併しました。これにより、駅直結・駅近型のビジネスホテルブランドとして展開されていた「JRイン」が、親会社であるJR北海道ホテルズ株式会社の直営事業となり、グループ内の事業再編が進められました。

現在の展開

現在、JR北海道ホテルズが運営または関与する宿泊施設は、北海道内にのみ所在しています。これらのホテルはいくつかのブランドに分類され、利用者の多様なニーズに応えています。

シティホテル: 都市の中心部に位置し、ビジネス利用から観光利用まで幅広い客層に対応する多機能型ホテル。
JRイン: 主にJR駅周辺に立地するビジネスホテル。機能的で利便性の高いサービスを提供し、道内各地の主要駅で展開されています。2018年の合併以降はJR北海道ホテルズ株式会社による直営となっています。
JR Mobile Inn: 新しいスタイルの宿泊施設として展開が模索されています。

これらのホテル群は、JR北海道の鉄道路線網と連携しながら、道内各地へのアクセス拠点としての役割も果たしています。

将来計画と断念された計画

JR北海道ホテルズは、今後の事業拡大に向けた計画も進めています。現時点では、北見市において新たなJRインの開業が予定されており、北見駅前に令和8年（2026年）夏頃のオープンを目指しています。また、富良野市では富良野駅から約1km圏内に、コンテナ型ホテルの建設計画が進められていることも明らかになっています。

一方で、過去には計画されたものの、実現に至らなかったプロジェクトも存在します。北斗市の新函館北斗駅前エリアにホテルを建設する構想がありましたが、こちらは平成26年（2014年）に計画が断念されています。事業環境の変化などにより、計画の見直しが行われたものと考えられます。

閉業・売却された主な施設

JR北海道グループがかつて運営に関与していた、あるいは所有していた宿泊施設の中には、既に営業を終了したり、他社へ売却されたりしたものも複数あります。

旭川ターミナルホテル: 運営は旭川ターミナルビルが行い、平成24年（2012年）9月30日をもって営業を終了しました。
クロフォード・イン大沼: かつてはジェイ・アールはこだて開発、その後北海道キヨスクが運営していましたが、ホテルとしての営業を終え、平成27年（2015年）11月2日に鶴雅観光開発へ売却されました。売却後、改修を経て平成28年（2016年）8月10日からは「大沼鶴雅オーベルジュ エプイ」として営業しています。
ロワジールホテル旭川: 旭川ターミナルビルが運営していましたが、平成27年（2015年）10月1日にフォートレス・インベストメント・グループLLCへ売却されました。同日付でホテル名称は変更されましたが（現「アートホテル旭川」）、休業することなく営業は継続されました。
ホテルさっぽろ弥生: 北海道キヨスクが運営していたホテルで、令和3年（2021年）8月31日をもって営業を終了しました。
JRイン帯広: 北海道ホテル系列の「ホテルヒーロー」を買収し、平成23年（2011年）6月にJRインとして開業しましたが、令和3年（2021年）11月30日に営業を終えました。その後、建物は改装され、JR北海道が土地・建物を所有し、ミサワホーム北海道が運営する「サービス付き高齢者向け住宅 ブランJR帯広駅前」として新たな形で利用されています。

これらの歴史を通じて、JR北海道ホテルズは北海道における宿泊事業の展開を続け、道内の観光振興やビジネス支援の一端を担っています。今後も新たな計画が進行しており、その動向が注目されます。

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