JR東日本川崎火力発電所

川崎火力発電所：首都圏の電力供給を支える歴史と技術

川崎火力発電所は、神奈川県川崎市川崎区に位置する、東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）が運営する火力発電所です。1930年（昭和5年）に鉄道省によって運用が開始され、以来、首都圏の電力供給に重要な役割を担ってきました。

発電所の歴史と役割

川崎火力発電所の建設は、東京近郊の国電区間電化に伴う電力安定供給の必要性から生まれました。当初は矢口発電所、赤羽火力発電所と並んで運用されていましたが、信濃川発電所の補助としてその役割が大きくなりました。現在では、信濃川発電所と合わせてJR東日本が使用する電力の9割（JR東日本全社でみても6割）を供給しており、JR東日本ビルディングなどの建物にも電力を供給しています。

歴史的な経緯から、JR東海道新幹線、JRシステムのマルス、ソフトバンク（旧JR通信・日本テレコム）、鉄道総合技術研究所、日本貨物鉄道など、首都圏における旧国鉄から引き継いだ様々な施設にも電力を供給し続けています。これは、民営化後も継続されている重要な役割です。

2009年（平成21年）には、信濃川発電所で発生した水利権に関する問題で操業停止となり、川崎火力発電所はフル稼働でその不足分を補うとともに、東京電力からの電力購入も行いました。この出来事は、川崎火力発電所の首都圏電力供給における重要性を改めて浮き彫りにしました。その後、2010年（平成22年）6月10日に信濃川発電所の稼動が再開されています。

川崎火力発電所は1957年（昭和32年）に日本建築学会賞作品賞を受賞するなど、建築的にも高い評価を受けています。

発電設備

川崎火力発電所の総出力は、2015年現在74.06万kWです。複数の発電設備が稼働しており、その構成は時代とともに変化しています。

1号機: コンバインドサイクル発電方式、LNG燃料、定格出力21.06万kW（2021年6月1日営業運転開始）、熱効率50.6%、更新設備
2号機: コンバインドサイクル発電方式、都市ガス燃料、定格出力18.74万kW（1993年6月26日営業運転開始）、熱効率44.4%
3号機: コンバインドサイクル発電方式、LNG燃料（2006年5月灯油から変更）、定格出力19.84万kW（1999年3月27日営業運転開始）、熱効率46.4%
4号機: コンバインドサイクル発電方式、LNG燃料、定格出力21.06万kW（2014年4月14日営業運転開始）、熱効率50.6%、更新設備

さらに、老朽化した既設1号機と4号機の更新・増設計画として、LNG燃料を用いたコンバインドサイクル発電設備3基の設置計画があり、順次更新が進んでいます。計画中の5号機も、LNG燃料を用いたコンバインドサイクル発電方式、定格出力21.06万kWの設備です。

過去には汽力発電方式、重油燃料の設備も存在しましたが、現在は廃止されています。

沿革と事故

川崎火力発電所は、1930年の操業開始当初は石炭焚きの汽力発電方式でした。1958年には重油燃焼方式への移行が進められ、その後、コンバインドサイクル発電方式への更新が行われました。1965年には、発電所の石炭灰処理に伴う事故（灰津波事件）が発生しており、この事故は発電所の安全管理の重要性を示す出来事となりました。

その後、順次更新・増設が行われ、現在の設備構成に至っています。

アクセス

川崎火力発電所へのアクセスは、JR鶴見線扇町駅下車となります。ただし、関係者以外立ち入り禁止です。

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