JR西日本35系客車

35系客車について

35系客車は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が2017年に導入した新しい客車で、主に山口線のSLやまぐち号で使用されています。この車両は古い12系700番台のレトロ客車に代わって導入され、約35年ぶりに日本国内で新規製造された普通座席客車となっています。新潟トランシスが製造を担当し、同社にとって客車の新製は初の試みでした。

開発の背景

1988年から使用されていた12系700番台は製造からかなりの年数が経過していたため、山口デスティネーションキャンペーンに合わせて新型の35系客車が投入されることとなりました。開発が発表されたのは2015年ですが、35系客車は旧型の魅力を引き継ぎつつも、現代の安全基準や快適性を考慮した設計がなされています。

車両の特徴

35系客車の外観は、1920年代から30年代にかけて国鉄で使用されたマイテ49形やオハ35形を参考にしています。屋根には丸屋根の構造を基本にしたダブルルーフが取り入れられ、一部の車両には展望デッキが設けられており、乗客はより美しい景色を楽しむことができます。また、安全性を重視した設計がなされており、引き戸や自動ドアが採用されています。

室内設備

内装は、当時の雰囲気を再現した上で、現代的な快適さを追求しています。座席はグリーン車と普通車に分かれており、リクライニングシートやボックスシートが用意されています。特に、グリーン車オロテ35形では、2+1列の広々とした座席に加え、大型テーブルや電源コンセントが備えられています。

トイレも、レトロなデザインを取り入れつつ温水洗浄便座を導入しており、様々なニーズに応える多機能トイレが完備されています。他にも、体験型の運転シミュレーターや展示スペースが設けられた車両もあり、観光客にとって新たな楽しみの場となっています。

運行と評価

35系客車は新山口総合車両所に配属され、初回の営業運転は2017年9月から開始されました。主にC57形蒸気機関車に牽引される形で運行され、特に観光向けに充実したサービスが提供されています。2018年には、ブルーリボン賞を受賞し、そのデザインと快適性の高さが評価されました。また、同年度のグッドデザイン賞にも選出され、利用者からの評価も非常に高いです。

まとめ

35系客車は、レトロな魅力と現代的な安全性・快適性を結集した新型客車として、多くの人々に愛されています。新しい技術の導入と過去の技術の再現が見事に融合したこの客車は、観光列車としての役割を果たしつつ、多くの旅行者に素晴らしい旅の体験を提供しています。

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