JTRAM

JTRAM（ジェイ・トラム）

JTRAMは、近畿車輛・三菱重工業・東洋電機製造の3社が共同で開発した、日本初の独立車輪式台車を使用した超低床路面電車です。従来の海外製超低床車両の課題を克服し、日本の都市環境に適した設計が特徴です。

概要

開発の背景

JTRAMが登場する以前は、アドトランツのGTシリーズやシーメンスのコンビーノなど、海外製の超低床車両が主流でした。しかし、これらの車両は日本の環境に合わない点や、狭軌への対応が課題でした。そこで、国土交通省の支援のもと、2001年より超低床エルアールブイ台車技術研究組合が発足し、独立車輪台車の技術開発が進められました。

研究組合参加企業

超低床エルアールブイ台車技術研究組合には、アルナ車両、川崎重工業、近畿車輛、東芝、東洋電機製造、ナブテスコ、日本車輌製造、三菱重工業の8社が参加しました。一方、アルナ車両は独自にリトルダンサーシリーズを開発しましたが、これは従来の路面電車製造技術の延長線上にあるもので、JTRAMとは異なるコンセプトに基づいています。

コンセプト

2004年3月に研究組合が解散した後、近畿車輛、三菱重工業、東洋電機製造の3社は、「U3プロジェクト」を立ち上げました。U3とは、Ultimate（究極の）、User friendly（利用しやすい）、Urban（都会的な）を意味します。当初はU3ALFAVehicleという愛称でしたが、後にJTRAMという名称に変更されました。

実績

JTRAMは、広島電鉄の5100形、1000形、5200形として導入されています。

広島電鉄5100形：5車体3台車の連接構造で、10編成が製造されました。第1・5車体が運転席と客席を備え、動力台車を装備。第3車体は客席下に無動力のフリー台車を装備し、第2・4車体は台車のないフローティング車体となっています。中間車のフリー台車とフローティング車体により、定員増加と通路幅の確保を両立しています。

広島電鉄1000形：3車体2台車の連接構造で、17編成が製造されました。小型の車体を生かし、電停の短い路線で運行されています。
広島電鉄5200形：2019年に登場。近畿車輛・三菱重工エンジニアリング・東洋電機製造の3社で製造されました。

5100形は、日本の路面電車の中でも大型車両であり、LRVの規範として広く認知されています。

その他

三菱重工業の交通システム製品の製造は、2018年1月1日より三菱重工エンジニアリングに継承されました。

関連項目

リトルダンサー (路面電車)
コンビーノ
ブレーメン形
路面電車
ライトレール

外部リンク

近畿車輌 JTRAM製品紹介
国土交通省 第４回「日本鉄道賞」の受賞者の決定について

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