J/FPS-3

J/FPS-3警戒管制レーダー

J/FPS-3は、日本の航空自衛隊が所有する高性能な警戒管制レーダーです。このレーダーは、大型固定式の3次元レーダー装置で、1992年から1999年にかけて計7基が導入されました。開発は技術研究本部が行い、製造は三菱電機が担当しました。この装置は、航空脅威に対抗するための重要な役割を果たし、さらにミサイル防衛に対応するための改修もされています。

開発の背景

航空自衛隊では、国産3次元レーダーをレーダーサイトに導入するため、自動警戒管制組織の確立が求められました。1972年からは、J/FPS-1|J_FPS-1（F-3D）の運用がスタートしましたが、全国28ヶ所に対して配備されたのはわずか7ヶ所でした。また、J/FPS-2|J_FPS-2も11ヶ所にとどまり、残りはアメリカ空軍から引き継いだレーダーを使用していました。これらアメリカ製レーダーの近代化は進んでいましたが、1990年代以降の新たな航空脅威に整合するレーダーの開発が急務となりました。

1981年には、次期警戒管制レーダーに関する運用要求書が作成され、1982年には具体的な要求性能が定められました。この頃、技術研究本部ではフェーズドアレイレーダーの研究も進めており、1979年には主要企業との共同研究も始まっていました。

技術的進展と試験

1983年には三菱電機が試作機の担当企業として選ばれ、官民協力による設計開発が進められました。1986年には技術試験が飯岡試験場で始まり、1987年には実環境での基本機能が確認されました。この試験の結果を受けて、1989年には部隊使用承認が下されました。

デザインと機能

J/FPS-3は、航空脅威への対応として、遠距離用と近距離用の2つのレーダーを搭載しています。それぞれが異なる探知能力を持ち、システムの抗堪性も向上させるように設計されています。レーダーは、半導体アクティブ・フェーズドアレイ・[[アンテナ]]を採用し、柔軟なビーム制御と小目標の高感度受信が可能です。

遠距離用装置

この装置は2次元（方位・仰角）走査方式を採用しており、数千の素子から構成されています。アクティブ・モジュールは全体の約50%を占め、サイドローブ特性の要求に応じて配列が調整されています。

近距離用装置

近距離用は、1次元（垂直面内）走査方式で複数ビームを使用します。アクティブ・モジュールの数は少なくなっていますが、素子数は遠距離用の倍以上あり、サイドローブ特性にはウェイティング技術を用いています。

運用と配備

最初のJ/FPS-3は1992年に経ヶ岬分屯基地に配備され、以後各地の分屯基地に運用機が導入されました。具体的には、加茂や大滝根山、当別、輪島、脊振山、笠取山など、多くの基地で運用されています。

海外輸出

J/FPS-3は輸出にも注力されており、2018年にはタイへの提案がありましたが、落選しました。一方、2020年にはフィリピン空軍向けに新たに開発される固定式レーダーに関する契約が成立しました。この契約は国産防衛装備の初めての輸出事例として注目を集めました。

改修と将来の展望

平成20・21年度に実施された改修により、J/FPS-3はミサイル防衛に対応する能力も強化されました。この改修により、次世代の防空システムとしての役割が期待されています。航空自衛隊の重要な資産として、J/FPS-3は今後も日本の防空の要となるでしょう。

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