Japan Satellite TV
Japan Satellite TV（ジャパンサテライトティービー、略称JSTV）は、ヨーロッパ、中東、ロシア、北アフリカといった広範な地域をサービスエリアとした日本語による衛星放送サービスでした。
運営は、2010年4月に名称を改称したNHKコスモメディアヨーロッパが行い、放送はフランスの通信衛星であるEutelsat HotBird6（東経13度）を使用して配信されていました。
その歴史は1990年の試験放送に始まり、1992年1月には有料放送へと移行し、本格的なサービス提供がスタートしました。
放送内容は、日本の公共放送であるNHKや、各民間のテレビ局が制作した番組の再送信が中心でした。日本の時間帯に合わせて編成され、『NHKニュース7』や『ニュースウオッチ9』といった主要なニュース番組は、日本国内とほぼ同時に放送されました。また、連続テレビ小説、大河ドラマ、NHKのバラエティ番組、さらには民放のニュース番組の一部（例: 『FNN Live News days』『FNN Live News it!』の全国放送部分）は、同日中に時差を設けて放送されました。
一方で、民放制作のドラマやバラエティ番組については、著作権などの権利関係の処理に時間を要するため、日本国内での放送よりも遅れて配信されることがしばしばありました。これは、NHKの番組が比較的海外での放送を前提として制作されることが多いのに対し、民放番組の多くが海外への展開を前提とした契約を結んでいない状況が影響していました。
番組の受信方法としては、衛星アンテナを設置する方法に加え、インターネット回線を利用した専用サービス『JSTV-i』、あるいは現地のケーブルテレビ局を通じて視聴する方法など、居住地域に応じて複数の選択肢が用意されていました。
有料放送サービスでありながら、番組と番組の間にはスポットCMが挿入されました。これらのCMは主に、サービスエリア内で事業を展開する航空会社や旅行会社、自動車販売店などによるものでした。他方で、民放制作番組を放送する際には、一部例外を除き、日本国内で放送される際のタイムCMはカットされました。これにより、番組全体の時間が短縮され、番組と番組の間に余剰時間が生じるため、その時間を利用してスポットCMや短いミニ番組が放送されました。
2008年3月には、新たなチャンネル『JSTV2』が開設されました。当初は夜間のみの放送でしたが、2009年からは朝の時間帯の放送も開始され、合計で1日11時間の編成となりました。JSTV2では、ニュース、情報番組、子供向け番組などが主に提供されました。このチャンネルでは、映像で番組表を表示する機能があったほか、音声多重放送としてNHKワールド・ラジオ日本のサイマル放送も行われていました。なお、2008年の北京オリンピックや2010年のバンクーバーオリンピック期間中には、このラジオサイマル放送が一時的に全面休止された時期もありましたが、2012年のロンドンオリンピックでは、NHKワールド・ラジオ日本側がオリンピック中継を通常編成と切り離して放送したため、JSTV2でのサイマル放送は継続されました。
JSTVは有料放送であるため、無料放送時間帯を除き、信号にはスクランブル処理が施される限定受信方式が採用されていました。このスクランブル方式には『Conax』が使われ、契約者にはICチップを内蔵した『Viewing Card』というカードが提供されました。このカードを専用のセットトップボックスに挿入することで、スクランブルが解除され、番組を視聴することが可能となりました。
日本のBS/CSデジタル放送で使われるB-CASカードと仕組みは似ていますが、B-CASカードが受信機に付属し、一枚で複数の放送事業者の契約に対応できるのに対し、Conax方式では通常、放送事業者ごとにViewing Cardが発行される点が異なっていました。そのため、複数の有料放送を契約する場合は、チャンネルごとにカードを差し替えるか、複数のカードスロットを持つ受信機が必要となる場合がありました。
しかし、インターネットを通じた動画配信サービスの急速な普及により、海外にいても日本国内の映像コンテンツを容易に入手できる環境が整った結果、JSTVの加入者数は2000年代のピーク時に比べて半数以下にまで落ち込みました。こうした事業環境の変化を受け、2023年5月、運営会社は同年10月31日をもってJSTVの放送を終了することを発表しました。なお、民放番組の提供は、本放送終了に先立ち、同年8月31日をもって終了しました。運営会社であるNHKコスモメディアヨーロッパは、JSTVの終了後の代替サービスとして、既に提供されている『NHKワールド・プレミアム』への移行を推奨しており、このNHKワールド・プレミアムは、2023年10月より新たにヨーロッパおよび中東地域もサービス対象エリアに含めることとなりました。
サービス終了時点での月額視聴料は、ユーロ圏で50ユーロ、イギリスで30ポンドでした。
JSTVと同様に海外向けの日本語テレビ放送サービスとしては、北アメリカ向けのテレビジャパンなどがありました。
運営は、2010年4月に名称を改称したNHKコスモメディアヨーロッパが行い、放送はフランスの通信衛星であるEutelsat HotBird6（東経13度）を使用して配信されていました。
その歴史は1990年の試験放送に始まり、1992年1月には有料放送へと移行し、本格的なサービス提供がスタートしました。
放送内容は、日本の公共放送であるNHKや、各民間のテレビ局が制作した番組の再送信が中心でした。日本の時間帯に合わせて編成され、『NHKニュース7』や『ニュースウオッチ9』といった主要なニュース番組は、日本国内とほぼ同時に放送されました。また、連続テレビ小説、大河ドラマ、NHKのバラエティ番組、さらには民放のニュース番組の一部（例: 『FNN Live News days』『FNN Live News it!』の全国放送部分）は、同日中に時差を設けて放送されました。
一方で、民放制作のドラマやバラエティ番組については、著作権などの権利関係の処理に時間を要するため、日本国内での放送よりも遅れて配信されることがしばしばありました。これは、NHKの番組が比較的海外での放送を前提として制作されることが多いのに対し、民放番組の多くが海外への展開を前提とした契約を結んでいない状況が影響していました。
番組の受信方法としては、衛星アンテナを設置する方法に加え、インターネット回線を利用した専用サービス『JSTV-i』、あるいは現地のケーブルテレビ局を通じて視聴する方法など、居住地域に応じて複数の選択肢が用意されていました。
有料放送サービスでありながら、番組と番組の間にはスポットCMが挿入されました。これらのCMは主に、サービスエリア内で事業を展開する航空会社や旅行会社、自動車販売店などによるものでした。他方で、民放制作番組を放送する際には、一部例外を除き、日本国内で放送される際のタイムCMはカットされました。これにより、番組全体の時間が短縮され、番組と番組の間に余剰時間が生じるため、その時間を利用してスポットCMや短いミニ番組が放送されました。
2008年3月には、新たなチャンネル『JSTV2』が開設されました。当初は夜間のみの放送でしたが、2009年からは朝の時間帯の放送も開始され、合計で1日11時間の編成となりました。JSTV2では、ニュース、情報番組、子供向け番組などが主に提供されました。このチャンネルでは、映像で番組表を表示する機能があったほか、音声多重放送としてNHKワールド・ラジオ日本のサイマル放送も行われていました。なお、2008年の北京オリンピックや2010年のバンクーバーオリンピック期間中には、このラジオサイマル放送が一時的に全面休止された時期もありましたが、2012年のロンドンオリンピックでは、NHKワールド・ラジオ日本側がオリンピック中継を通常編成と切り離して放送したため、JSTV2でのサイマル放送は継続されました。
JSTVは有料放送であるため、無料放送時間帯を除き、信号にはスクランブル処理が施される限定受信方式が採用されていました。このスクランブル方式には『Conax』が使われ、契約者にはICチップを内蔵した『Viewing Card』というカードが提供されました。このカードを専用のセットトップボックスに挿入することで、スクランブルが解除され、番組を視聴することが可能となりました。
日本のBS/CSデジタル放送で使われるB-CASカードと仕組みは似ていますが、B-CASカードが受信機に付属し、一枚で複数の放送事業者の契約に対応できるのに対し、Conax方式では通常、放送事業者ごとにViewing Cardが発行される点が異なっていました。そのため、複数の有料放送を契約する場合は、チャンネルごとにカードを差し替えるか、複数のカードスロットを持つ受信機が必要となる場合がありました。
しかし、インターネットを通じた動画配信サービスの急速な普及により、海外にいても日本国内の映像コンテンツを容易に入手できる環境が整った結果、JSTVの加入者数は2000年代のピーク時に比べて半数以下にまで落ち込みました。こうした事業環境の変化を受け、2023年5月、運営会社は同年10月31日をもってJSTVの放送を終了することを発表しました。なお、民放番組の提供は、本放送終了に先立ち、同年8月31日をもって終了しました。運営会社であるNHKコスモメディアヨーロッパは、JSTVの終了後の代替サービスとして、既に提供されている『NHKワールド・プレミアム』への移行を推奨しており、このNHKワールド・プレミアムは、2023年10月より新たにヨーロッパおよび中東地域もサービス対象エリアに含めることとなりました。
サービス終了時点での月額視聴料は、ユーロ圏で50ユーロ、イギリスで30ポンドでした。
JSTVと同様に海外向けの日本語テレビ放送サービスとしては、北アメリカ向けのテレビジャパンなどがありました。
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