Japanist

Japanist：富士通の日本語入力システム

この記事では、富士通が開発・販売していた日本語入力システム「Japanist」について、その歴史、機能、対応OS、そして販売終了に至るまでの経緯を詳細に解説します。

Japanistの起源：OAK

Japanistのルーツは、富士通が開発した日本語入力フロントエンドプロセッサ(FEP)「OAK（オーエーケー、オアシスかな漢字変換）」にあります。元々は富士通のワープロ専用機OASYSのかな漢字変換機能を、同社製パソコン(FMR、FM TOWNSなど)のMS-DOSやOS/2向けに移植したものです。その後、Windowsへの移植も進められ、富士通製パソコンやワープロソフトOASYSにバンドルされて広く利用されました。OAKは、バージョンを重ねる中で機能が強化され、2000年には親指シフト入力に対応した「OAK パワーアップβ版」が登場しました。

Japanistの誕生と進化

OAK V8をベースに改良を加え、2000年12月15日、単体製品として「Japanist V1.0」が発売されました。その後、2001年には「Japanist 2002」、2003年には「Japanist 2003」がリリースされ、機能強化が続けられました。2017年には、Windows 10に対応した最新バージョン「Japanist 10」が発表されました。このバージョンでは、従来のJapanist 2003では対応していなかったUWPアプリへの入力にも対応しています。

Japanistの主な機能と特徴

Japanistは、いくつかの特徴的な機能を備えています。

親指シフト対応: 富士通製の親指シフトキーボードに対応しているだけでなく、一般的なJIS配列キーボードでも親指シフト配列をエミュレートできる機能が搭載されています。
入力予測機能: 過去の入力履歴を学習し、入力された最初の数文字から予測候補を表示することで、入力の手間を軽減します。
* 単文節変換への最適化: 多くのIMEが連文節変換を重視するのに対し、Japanistは単文節変換を重視した設計となっています。これにより、変換作業の効率化と、変換中の文節への後戻りの軽減を目指しています。

対応OSとサポート終了

Japanist 10はWindows 10(32bit/64bit)専用ですが、Windows 10以外のOSでは、同梱のJapanist 2003が利用可能でした。ただし、Japanist 2003の対応OSはWindows 98、Me、NT 4.0、2000、XPなど、古いOSも含まれており、マイクロソフト社のOSサポート終了に伴い、一部OS環境下でのサポートは終了しています。Windows 7や8への対応はアップデートによって実現されましたが、Modern UIアプリへの入力はサポートされませんでした。

2020年5月には、Japanist 10の販売終了とサポート終了までのスケジュールが公表され、2021年5月に法人向け販売が終了、2026年6月にはすべてのサポートが終了する予定となっています。

OAKのバージョン履歴

OAKはDOS版とWindows版がリリースされ、Windows版はバージョンを重ねるごとに機能強化、対応OSの拡大が行われました。Windows版の主なバージョンとしては、OAK/Win V1.0、OAK for Windows V3.0、OAK for Windows 95 V4.0、OAK V5.0、OAK V6.0、OAK V7.0、そしてJapanistのベースとなったOAK V8.0などがあります。各バージョンは、対応OSや機能に違いがありました。

Japanistのバージョン履歴

Japanistは、V1.0、Japanist 2002(V2.0)、Japanist 2003(V3.0)、そしてJapanist 10とバージョンアップを重ね、機能強化や対応OSの変更が行われました。また、Pocket PCやWindows Mobile 5.0に対応した「Japanist for Pocket PC」もシェアウェアとして提供されていました。

まとめ

Japanistは、長年にわたって多くのユーザーに利用されてきた日本語入力システムでした。その歴史は、OAKという日本語入力エンジンから始まり、進化を遂げながら、親指シフト対応や単文節変換といった独自の機能を提供してきました。しかし、時代の流れとともに販売終了、サポート終了を迎えることとなりました。それでも、その歴史と機能は、日本語入力システムの歴史において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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