Jaz

Jaz（ジャズ）は、アイオメガが開発したリムーバブルハードディスクです。磁気記録方式を採用し、データの書き換えが可能です。フロッピーディスク技術を基にしたZipとは異なり、ハードディスクの技術を基盤としている点が特徴です。これにより、データの読み書き速度は、ZipやMO（光磁気ディスク）といった同時代のリムーバブルディスクと比較して圧倒的に高速で、当時のハードディスクに近い性能を発揮しました。

ディスクカートリッジには、500MB、1GB、そして後に2GBの3種類の容量が存在しました。Jazドライブ自体も、当初の1GBまで対応したモデルと、後継機種として2GBまで対応した上位互換モデルがありました。他の記憶媒体との互換性はなく、コンピュータとはSCSIインターフェースで接続する必要がありました。

Jazドライブ製品の末期には、Apple ComputerのMacintoshシリーズがSCSIを標準搭載しなくなったことを受け、FireWire接続ドライブの投入が計画されました。しかし、アイオメガの業績が深刻に悪化した時期と重なったため、製品ラインナップが整理され、この計画は実現しませんでした。

Jazは、価格が急速に低下していたCD-RやCD-RW、DVD-R、DVD-RWといった光ディスクメディアや、容量が急激に増加していたハードディスクに押され、市場に浸透することはありませんでした。その後、Jazの後継技術としてREVが開発されました。

技術的な詳細

Jazの技術的な特徴は、高速なデータ転送速度を実現するために、ハードディスクの技術をリムーバブルメディアに応用した点にあります。これにより、ZipやMOなどの他のリムーバブルメディアと比較して、アクセス速度やデータ転送速度が大幅に向上しました。Jazのディスクカートリッジは、カートリッジ内部にハードディスクと同じように磁気ディスクが収められており、精密なヘッド機構によってデータの読み書きが行われました。

SCSIインターフェースを採用していたため、高速なデータ転送が可能でしたが、その一方で、インターフェースが標準装備されていないコンピュータでは、SCSIインターフェースカードを別途用意する必要がありました。この点も、Jazが普及しなかった一因と言えるかもしれません。

市場における課題と競合

Jazが登場した当時、リムーバブルメディア市場は多様な製品が存在し、競争が激化していました。特に、Zipドライブは低価格で普及しており、MOは書き換え可能で信頼性が高いという強みを持っていました。Jazは高性能ではありましたが、価格が高く、SCSIインターフェースが必要という点で、一般ユーザーには敷居が高い製品でした。また、CD-RやDVD-Rなどの光ディスクメディアは、大容量化と低価格化が進み、データアーカイブやバックアップの用途で広く利用されるようになりました。

このような状況の中で、Jazは市場でのシェアを拡大することができず、最終的には市場から姿を消すこととなりました。しかし、Jazの技術は、その後のリムーバブルメディアの開発に影響を与えたと言えます。

関連項目

• - Bernoulliディスク
• - Ditto

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