Ju 388 (航空機)

Ju 388 概要

Ju 388は、第二次世界大戦の終息期にドイツ空軍で使用された爆撃機であり、ユンカース社によって開発されました。この機体は、同社の傑作であるJu 88の最後の発展型で、市場に投入されることが期待されました。Ju 88は多様な役割を持つ機体として知られていますが、爆撃機としての性能には一部不満が残っていました。そこで、Ju 388はその課題をクリアし、高高度での圧倒的な速度を提供し、「戦闘機よりも速い爆撃機」というコンセプトが実現されました。しかし、正式な量産体制に入ることなく終戦を迎えました。この機体は、Ar 234とともに戦争末期でも生産が続けられた稀少なドイツの爆撃機です。

開発経緯

Ju 88は、偵察、雷撃、攻撃、夜間戦闘などの多用途機として非常に優れた性能を持っていますが、爆撃機としての高い能力が求められていました。ユンカース社は、Ju 88の後継機としてJu 288を開発しましたが、その完成が遅れたため、一時的にJu 188が改良型として投入されました。しかし、Ju 288の開発は最終的に失敗し、1943年9月にはJu 188のさらなる強化版としてJu 388の開発が決定しました。この新しい機体は、与圧キャビンと排気タービン式過給機を装備し、高高度性能を大幅に向上させました。加えて、尾部に装備された13mmMG131Z連装機銃が防空能力を高めていました。

ドイツ空軍は、偵察機や夜間戦闘機の需要もあったため、Ju 388をベースにした新型機の開発を進めることにしました。生産は3つのバリエーション、すなわち、夜間戦闘機型のJu 388 J、爆撃機型のJu 388 K、そして偵察機型のJu 388 Lに分かれました。

生産状況

偵察機型のJu 388 Lは1943年末にプロトタイプが完成し、試験飛行で良好な結果を残したため、早速先行量産版のJu 388 L-0が生産に移されました。その後も改良が重ねられ、最終的には合計37機が製造されました。

一方、夜間戦闘機型であるJu 388 Jは1944年1月に初めて完成し、レーダー操縦手が乗るため乗員が1名増加しました。機銃として20mmMG 151/20と30mmMK 108を装備したのですが、その後の量産は想定よりも遅れ、Ju 388 J-1の量産型は3機だけ生産されるに留まりました。この機体は「シュトルテベッカー（Störtebeker）」という通称が付けられていますが、命名の由来は不明です。

爆撃機型のJu 388 Kも同様に1944年1月に完成し、Ju 388 K-0が10機、Ju 388 K-1が5機生産されました。この機体は通常の2トンではなく最大で3トンの爆弾を搭載可能で、高さ1万メートル以上で600km/hの速度を発揮する能力がありました。また、飛行爆弾を搭載する計画も立てられ、これはJu 388 Mという名称であったとされています。

諸元

以下はJu 388 L-1の主要なスペックです：

• - 乗員：3名
• - 全長：15.2 m
• - 全幅：22.0 m
• - 全高：4.3 m
• - 翼面積：56.0 m²
• - 通常重量：13,800 kg
• - 最大重量：14,700 kg
• - エンジン：BMW801TJ 14気筒星型空冷エンジン × 2
• - 離昇出力：1,800馬力
• - 通常出力：1,410馬力（高度12,300 mで）
• - 最高速度：616 km/h（高度12,300 mで）
• - 航続距離：3,000 km
• - 上昇限度：13,400 m
• - 武装：13mmMG 131Z連装機銃搭載FA15銃塔基

バリエーション

• - Ju 388 J-1：夜間戦闘機タイプの量産型。
• - Ju 388 K-0：爆撃機タイプの先行量産型。
• - Ju 388 L-0：偵察機タイプの先行量産型。

このように、Ju 388はドイツ軍において非常に重要な位置を占める機体であり、その多機能性と高性能から、航空技術の進展を含む様々な実験が行われました。

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