Ju 49 (航空機)

ユンカース Ju 49: 高高度飛行の実験機

ユンカース Ju 49は、1930年代に開発された高高度飛行用の実験機です。この機体は特に与圧室を装備し、高い高度での飛行性能を向上させることを目的としていました。1935年には、約12,500メートルという高高度での飛行を成功させています。

エンジンと設計

Ju 49は、高高度に適した性能を目指して、ユンカース L88a倒立型V16エンジンを搭載しました。このエンジンは、直立エンジンを二台組み合わせたもので、さらに高圧環境での性能を維持するために二段過給機とインタークーラーが装備されています。このエンジンは、高度5,800メートルで700馬力を発生し、飛行機の信頼性を高めました。

機体は全金属製で、ジュラルミン波板外皮を使用した片持単葉機として設計されています。翼の後縁にはユンカースの「二重翼」が取り付けられ、安定性を確保しています。また、大直径の4翅プロペラを装備し、長い固定脚が設けられているため、見た目にも独特の造形を持っています。キャビンは加圧されており、前方と両側に加えて上方に五つの窓が設置されていますが、視界は限られるため、着陸時にはペリスコープを使用しました。

初飛行と実験

Ju 49の初飛行は1931年10月19日に行われましたが、この当初は倒立型Vエンジンが開発中であったため、直列エンジンのL88が使用されました。その後1932年の夏には過給エンジンを搭載し、本格的な実験がスタートしました。エンジンや過給装置に深刻な問題はなく、飛行テストを重ねることで、目標の高度6,000メートルを突破。1933年には10,000メートル、そして1935年には12,500メートルに達したものの、飛行機としての公式な高度記録は樹立されませんでした。しかし、Ju 49で得られた技術データは、後の実用機であるJu 86Pの開発に寄与しました。

ユンカース Ju 49の技術的意義

この機体は1機のみ製作され、民間機登録番号はD2688（後にD-UBAZ）でした。ドイツ航空研究センターにて用いられ、1937年には墜落により失われました。ユンカース Ju 49は、高度飛行技術の発展において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。その設計理念は、次世代の航空機の加圧技術や高高度飛行技術のインスピレーションとなりました。

高高度飛行技術の歴史

高高度飛行に関する挑戦は1920年代後半から1930年代にかけて盛んに行われてきました。例えば、1932年9月にはシリル・アンウィンズがヴィッカース ヴェスパで13,408メートルに達し、さらに1933年にはレナト・ドナティがカプロニCa 114で14,433メートルに到達しましたが、これらは高高度の長時間飛行には至りませんでした。

その後、ウィリー・ポストが与圧服を開発し、高度15,000メートルを数時間飛行する技術を確立しました。続いて、1936年にはF.R.スウェインがブリストル 138で15,230メートルに到達し、マリオ・ペチは1938年にカプロニ Ca 16bisで17,083メートルに達しました。これらの成果は、与圧服が高高度での持続飛行を可能にしたことを示しています。

ユンカース Ju 49は、機体そのものを加圧し、内装を快適に保つという技術で初めての実用的な例とされています。後に登場したロッキード XC-35が初の与圧キャビン搭載機としてよく知られていますが、実際にはJu 49の方が先に飛行しており、高高度飛行の歴史における重要な一ページを刻んでいます。

諸元

• - 乗員: 2
• - 全長: 17.21 m
• - 翼幅: 28.24 m
• - 空虚重量: 3,590 kg
• - 運用時重量: 4,250 kg
• - 動力: ユンカース L88a V-12エンジン（596 kW/700 hp）
• - 最大速度: 146 km/h
• - 実用上昇限度: 13,015 m

このようにユンカース Ju 49は、高高度飛行技術において重要な実験機であり、未来の航空機に多大な影響を与えました。

もう一度検索