K-30 (ミサイル)

K-30短距離空対空ミサイルの概要

K-30（ロシア語：К-30）は、ロシアのヴィーンペル科学製造連合が開発した短距離空対空ミサイルです。このミサイルはR-73の後継機として設計され、K-MDとも呼ばれています。開発名はIzdeliye 300（製品30の意）であり、K-30という名称は暫定的なもので、最終的には別の名称に改名される予定でした。

開発の経緯

K-30の開発は1990年代に始まり、当初はMFI計画に基づいて航空機に搭載するためのものとしてスタートしました。1997年には量産の見込みが立っていましたが、ソビエト連邦の崩壊によって当プロジェクトは中止され、その結果K-30も量産計画が頓挫しました。

しかし、Su-57戦闘機に搭載するために開発が再開され、2008年にはプロトタイプの試験が実施されました。残念ながら、2012年にはヴィーンペルがR-74M2の開発に集中することを発表し、K-30の開発は実質的に停止される結果となりました。加えて、ウクライナのルーチ設計局もK-30を基にしたグラン（開発名称611）を発表しましたが、こちらも開発は停滞しています。

設計の特徴

K-30は完全に新規開発されたミサイルであり、R-73の後に米国製のASRAAMやIRIS-T、日本のパイソン4、AIM-9Xなどの高性能ミサイルを超える性能を目指しています。搭載されるシーカーは赤外線画像誘導技術を使用しており、これはR-74M2と比較してもロックオン距離が2倍以上とされ、フレアなどへの耐性も向上しています。

シーカーの開発には、ウクライナ企業のアーセナルの後を引き継ぐ形でロシアのジオフィジカコスモスとGNPPインパルスが関与することが提案されており、また、アゾフ光学機械工場（AOMZ）が高精度のシーカー技術に取り組む意向も示しています。

ミサイル本体は空気力学の改良により、抗力を最小限に抑えたデザインが施されており、形状はASRAAMに似たものになると言われています。K-30は2段階固体燃料ロケットをエンジンとして搭載し、高い比推力を持ち、約100秒の燃焼時間を確保する計画でした。排気口は「3チャンネルのガスダイナミック制御ユニット」と呼ばれる推力偏向ノズルを採用する予定で、このノズルは炭素繊維を用いて製造される提案がされていました。

また、K-30には適応型弾頭が搭載され、対象に対して最大限の致死効果を発揮するよう設計されています。このミサイルは敵機を攻撃する際だけでなく、敵のミサイルに対する防御手段としても利用されることを想定しています。

結論

K-30は高性能な短距離空対空ミサイルとして開発が進められたものの、様々な要因により実用化には至りませんでした。今後の発展や可能性についても注目される存在であり、その技術は他のミサイルシステムに活かされる可能性があります。

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