KIN (携帯電話)

KIN（キン）について

KINは、マイクロソフトとシャープが共同で設計・開発したスマートフォンシリーズで、2010年5月にアメリカで発売されました。このシリーズは、特にソーシャル・ネットワーキング・サービス（SNS）の利用に重きを置いたユーザーインターフェースを特色としており、新しいモバイル体験を提供することを目的としています。アメリカでは、ベライゾン・ワイヤレスの通信網で使用可能であり、ヨーロッパではイギリス、ドイツ、イタリア、スペインでの販売が予定されていましたが、2010年6月30日にヨーロッパ市場への展開は中止されました。その後、開発チームはこのプラットフォームをWindows Phone 7に統合する方針を発表しました。

KINの特徴

KINの最も顕著な特徴は、ソーシャルメディアとのシームレスな統合です。KINの待ち受け画面である「KIN Loop」では、Facebook、MySpace、Twitterといった主要なSNSからの情報が自動的に集約され、リアルタイムで表示されます。このため、ユーザーは友人の活動や最新情報に簡単にアクセスでき、他のユーザーとのつながりを強化することができます。これにより、SNSを度々活用する若年層をターゲットにしたアプローチが採られました。

さらに、KINはクラウドコンピューティング技術を取り入れており、「KIN Studio」と呼ばれるサービスを提供しています。このサービスはユーザーのメール、通話履歴、写真、動画などのコンテンツを自動でバックアップするもので、マイクロソフトは「容量不足は絶対に起こらない」と強調しています。このデータはクラウド上で自動的に整理され、PCなどからアクセスすることも可能です。この機能により、ユーザーは大切なデータを安全に管理しながらも、スマートフォンが抱えるストレージの問題を気にすることなく利用できる点が大きな魅力です。

KINでは、マイクロソフトのZuneの技術を基にした音楽サービスなども提供される予定でしたが、これも一部のプロジェクトが転換されることになりました。

スペックとモデル

KINは当初、KIN ONEとKIN TWOの2つのモデルが発表されました。KIN ONEは片手での操作がしやすいデザインで、特に携帯性を重視したモデルです。一方、KIN TWOは両手での操作を考慮したデザインで、より多機能を満喫できる仕様となっています。通信技術面では、Bluetooth 2.1とIEEE 802.11b/gに対応し、アメリカモデルはCDMA2000 1x EV-DO Rev.Aに、欧州モデルはW-CDMAにそれぞれ対応しています。

このような特徴を持つKINは、若年層のニーズに応じた設計がされている一方で、販売戦略の変更や市場の動向によって、期待されたヨーロッパ展開が頓挫するなど、さまざまな試練にも直面しました。結局、アメリカ市場では引き続き現行モデルの販売が続けられることになり、各国での展望の変化が全体の市場戦略に与える影響が浮き彫りになっています。

KINはシャープ製のスマートフォンの一つであり、マイクロソフトの新たなスマートフォン戦略において重要な役割を果たしました。

もう一度検索