KJ-2000 (航空機)

KJ-2000（空警2000）

KJ-2000（空警2000）は、中華人民共和国が開発した早期警戒管制機であり、Il-76を母機として利用しています。この機体は、同じくIl-76を基にしたA-50という早期警戒機が存在しますが、KJ-2000は独自のシステムを中国国内で開発している点が特徴です。

機体と技術

KJ-2000の基盤となるのは、ロシアから購入されたIl-76MDという機体です。設計にはイスラエル製のEL/W-2090 Palconアクティブフェイズドアレイレーダーの搭載が予定されていましたが、アメリカの政策的圧力により、この改修作業は中断されました。そのため、機体は2002年になるまでロシアを経由して中国に届かず、国内で保管されていました。その後、中国は自国の技術でAWACSシステムを開発する決定を下しました。

KJ-2000に搭載されるレーダーは、南京電子技術研究所（第14研究所）が開発したもので、ベガ設計局との共同研究に基づくものです。このレーダー、K/LLQF01はアクティブフェイズドアレイ型であり、低高度で470km、高高度では1,200kmの距離から敵機を探知できる能力があります。また、一度に60から100の目標を追尾することが可能です。レーダーは三角形の配置で設置されており、特に回転ドームを採用せず固定式なのが特色となっています。

運用状況

初の運用は2006年1月から始まり、現在では南京の閻良基地に5機が配備されています。特に注目すべきは、2008年の四川大地震時にKJ-2000が出動し、災害区域の上空で救助活動を行ったことです。この期間中、機体は10時間以上空中で指揮を行い、数百機の航空機を統制しました。また、同年の北京オリンピックにおいてもKJ-2000が3機派遣され、空域の警戒が行われました。

機体性能

KJ-2000の性能については、以下のスペックがあります。

• - 最大速度：850 km/h
• - 航続距離：5,500 km
• - 滞空時間：12 時間
• - 離陸重量：175 t

このように、KJ-2000は早期警戒機としての性能を高めるために多くの改良が施されており、現在ではイスラエルのEL/W-2090に近づく性能を持つとされています。また、その運用実績からも、中国における重要な空中指揮機能を果たしています。

まとめ

KJ-2000は中国の技術力を示す重要な軍用機であり、国内外での幅広い運用を展開しています。近年の改良により、その性能は向上しており、実際の災害救助や大規模イベントにおいても活用されています。これにより、KJ-2000は早期警戒管制機としての役割を確立し、多様な任務に対応可能な機体となっています。

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