四川大地震

四川大地震（2008年）

四川大地震は、2008年5月12日14時28分（現地時間）に中華人民共和国四川省で発生したマグニチュード8.0（Mw7.9）の巨大地震です。震源はアバ・チベット族チャン族自治州汶川県で、中国[[地震局]]は「汶川地震」と呼んでいます。また、「512大地震」とも呼ばれます。

地震のメカニズム

この地震は、四川盆地の北西端を走る龍門山断層帯と呼ばれる長さ約300kmの衝上断層が動いたことによって発生しました。震源付近は、標高5,000m級のチベット高原から標高500m前後の四川盆地へと急激に標高が低くなる地帯であり、活発な地質活動が起きています。

インドプレートがユーラシアプレートを圧迫する力が、四川盆地の西側で集中し、活構造を形成しました。龍門山断層帯は、アルプス・ヒマラヤ造山帯と揚子江卓状地の境界に位置し、古くから地震が多い地域として知られています。過去にも周辺では多くの地震が発生していましたが、龍門山断層帯自体での地震は長期間静穏期に入っていたと考えられていました。今回の地震は、その静穏期の終わりを告げるもので、地質学的に大きな衝撃を与えました。

地震の規模と揺れ

発生時刻: 2008年5月12日14時28分（現地時間）
震源: 四川省アバ・チベット族チャン族自治州汶川県
規模: マグニチュード Ms 8.0（中国[[地震局]]）、Mw7.9（USGS）
震源断層: 龍門山断層の南部、逆断層、直下型地震、長さ約285km

北京、上海、香港など中国本土の広範囲で揺れが観測されました。これは、ユーラシア大陸の強固な岩盤が地震波を減衰させにくく、震源が浅く規模が大きかったため、水平方向に伝播しやすい表面波が強くなったためと考えられています。地震波は地球を数周したことが確認されています。

断層は長さ約120km、幅約40kmにわたる範囲で大きく動いたとみられ、1995年の阪神・淡路大震災の断層と比較して、長さで2倍以上、地震のエネルギーは約20倍に相当すると推定されています。

余震と被害

地震後も余震が長期間続き、M6.0以上の余震も複数回発生しました。同年8月には、四川省攀枝花市でM6.1の地震が発生し、さらなる被害をもたらしました。

この地震により、道路、電力、水道、通信などのライフラインが寸断されました。死者は6万9千人を超え、負傷者は37万人以上、行方不明者も多数に上りました。家屋の倒壊や損壊も甚大で、特に学校校舎の倒壊が多く、耐震基準の甘さや手抜き工事が指摘されました。震源地の汶川県映秀鎮では、人口の約8割が死亡または行方不明となりました。

また、紫坪埔ダムなどの複数のダムに亀裂が生じたり、土砂崩れによる地震湖の発生も確認され、下流域での避難措置が取られました。

世界遺産・文化財への被害

観光地でもあった地域のため、都江堰や李白旧居などの文化財にも大きな被害が出ました。九寨溝では道路が寸断され、アクセスが困難になりました。兵馬俑坑でも損傷が確認されています。

地震後の動き

中国政府は、温家宝総理が即日被災地入りし、陣頭指揮を執りました。人民解放軍や武装警察部隊など15万人近くが救助活動に動員されました。また、全国哀悼日が制定され、全国で追悼行事が行われました。2009年には、5月12日が「防災減災日」に制定されました。

国際的な支援

各国から支援の申し出があり、日本も国際緊急援助隊を派遣しました。医療チームや救助チームが被災地で活動し、多くの人命救助に貢献しました。台湾からも多額の義援金が寄せられました。

その後

四川大地震は、中国社会に大きな教訓を残しました。手抜き工事、災害対策など様々な問題点が浮き彫りになりました。

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