KS-23

KS-23：特殊用途向け大口径カービン

KS-23は、1970年代にソビエト連邦で開発された特殊な散弾銃です。通常の散弾銃とは異なり、銃身にライフル状の溝（ライフリング）が施されている点が特徴で、ロシア連邦軍などでは特殊作戦用カービン銃として扱われます。

開発の背景と概要

KS-23は、刑務所内での暴動鎮圧を目的として、ソビエト連邦内務省（MVD）の要請によりTsNIITochMashで開発されました。1971年に開発が開始されましたが、技術的な問題から実際に製造が開始されたのは10年後の1981年でした。1985年頃から内務省管轄の部隊で正式採用され、1990年代には屋内近距離戦闘を想定した改良研究が進められました。その結果、KS-23MとKS-23Kという2つの試作モデルが開発され、現在では主にKS-23Mが配備されています。現在もロシア連邦の法執行機関でKS-23とKS-23Mが使用されており、旧ソ連構成国や東側諸国の一部でも現役で使用されています。

製造コストや現在の製造状況は不明ですが、少なくとも1998年頃までは製造されていたと考えられています。

構造

KS-23の基本的な構造は、一般的なポンプアクション式散弾銃と大きく変わりませんが、23mmという大口径が特徴です。これはアメリカ基準で6.27ゲージ、現行ヨーロッパ基準で4ゲージに相当します。この大口径銃身は、GSh-23機関砲の銃身製造時に発生した不良品を転用したもので、散弾の発射に必要な強度を満たしていると判断されたため採用されました。

バリエーション

KS-23
最初に開発された基本モデル。銃床とハンドグリップには、それぞれクルミ材とポリマーが使用されています。3発の弾薬を装填できるチューブマガジンを備え、 chamberに1発装填することで最大4発の装填が可能です。有効射程は約150mです。
KS-23M ドロースト
KS-23をベースに開発された、銃身を短くしたモデルです。1990年10月から開発が始まり、1991年12月10日に他の25種類の散弾銃と共にトライアルに提出されました。その後、ロシア国内軍と警察部隊に採用され、現在も使用されています。KS-23との主な違いは、取り外し可能なワイヤーストックと短縮された銃身で、これにより屋内などの狭い場所での取り回しが容易になっています。ストック装着時の全長は875mm、取り外し時は650mm、銃身の長さは410mmで、有効射程は約100mです。
KS-23K
ブルパップ方式を採用したKS-23の派生型です。1998年にロシア内務省（MVD）での使用が認可されました。従来のKS-23やKS-23Mは、チューブマガジンを採用しており、迅速な再装填や弾薬の変更が困難でしたが、KS-23Kではこれらの欠点を改善するため、装弾数を7発に増やした箱型弾倉に変更されました。その他の改良点として、銃の左側面にセーフティが追加され、照準器が調整可能になりました。有効射程は約100mです。
TOZ-123 ドレイク
ハンドグリップの形状などを変更したKS-23の民間向けモデルです。KS-23と同等の4ゲージ仕様ですが、適用される法律や価格の面で一般的な狩猟用散弾銃とは大きく異なり、商業的には成功しませんでした。かつてはアメリカ合衆国でも販売されていましたが、クリントン政権時代に輸入が禁止されました。

使用弾薬

KS-23は、さまざまな戦況に対応できるよう、多くの専用弾薬が開発されています。

"シュラプネル-10" («Шрапнель-10»):
有効射程10mのバックショット（大粒の散弾）。
"シュラプネル-25" («Шрапнель-25»):
有効射程25mのバックショット。
"バリカーダ" («Баррикада»):
有効射程最大100m。先端が尖ったソリッドスチール製の一粒弾。自動車のエンジンブロックを破壊するほか、コンクリートや土嚢、レンガなどの障害物に隠れた対象にも有効です。
"ヴォルナ" («Волна», "Wave"):
教習および訓練用の模擬弾。
"ヴォルナ-R" («Волна-Р», "Wave"):
有効射程70mの教習および訓練用のゴム製低致死性弾。40m以内での使用は危険です。
"ストレラ-3" («Стрела-3», "Arrow"):
プラスチック製の低致死性弾。
"チェリョームハ-7" («Черёмуха-7», "Bird Cherry"-7):
有効射程150mのCNガス催涙弾。ガスの効果範囲は約30㎥。後述のチェリョームハ-7Mに置き換えられました。
"チェリョームハ-7M"(«Черёмуха-7M», "Bird Cherry"-7):
有効射程150mのCNガス催涙弾。ガスの効果範囲は約50㎥。
"シリン-7" («Сирень-7», "Lilac"):
有効射程100mのCSガス催涙弾。ガスの効果範囲は約50㎥。
"ズヴェズダ" («Звезда», "Star"):
閃光と爆音で対象を無力化するフラッシュバン弾。
"PV-23"(«ПВ-23»):
下記の擲弾などを投射するための空砲。
"チェリョームハ-6"(«Черёмуха-6»):
36mm口径の催涙弾。KS-23の銃口に装着するアタッチメントである36mm擲弾筒"ナサトカ-6"(«Насадка-6»)を使用し、PV-23で発射します。有効射程は200m、ガスの効果範囲は約60㎥です。
"チェリョームハ-12"(«Черёмуха-12»):
82mm口径の催涙弾。KS-23の銃口に装着するアタッチメントである82mm擲弾筒"ナサトカ-12"(«Насадка-12»)を使用し、PV-23で発射します。有効射程は120m、ガスの効果範囲は約100㎥で、開けた場所での使用に適しています。
"OTs-06 コシュカ"（ОЦ-06 «Кошка» ）:
KS-23の銃口に追加するアタッチメントで、先端に鉤が付いたロープを射出します。有効射程は水平方向に35m、垂直方向には7階建ての建物に相当する20mです。

運用国

ソビエト連邦 / ロシア
アルメニア
ウクライナ
ベラルーシ
カザフスタン
ウズベキスタン
北朝鮮
ベトナム

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