KSAT

KSAT（かごしまサテライト）について

KSATは、鹿児島大学と地域の企業によって開発された小型の人工衛星です。2010年5月21日に、金星探査機「あかつき」とともにH-IIAロケットで打ち上げられ、愛称は「ハヤト」と名付けられました。KSATは、サイズが約10cmのキューブ型で、重さは約1.4kgと軽量です。主な機能は、太陽電池パネルを用いたエネルギー集約と、大気中の水蒸気分布を観測するための専用機器を搭載している点にあります。また、地球を撮影するカメラも積んでおり、地球環境や気象の変化を捉えることができます。

打ち上げの経緯

KSATは、当初、金星探査機「あかつき」の相乗り衛星として2010年5月18日6時44分14秒（JST）の打ち上げが計画されていました。しかし、天候不良のため打ち上げは延期され、3日後の5月21日6時58分22秒（JST）に行われました。無事に打ち上げが成功した後、KSATの通信が確認されたとの報告がありましたが、その信号が実際に「ハヤト」からのものであるか確証が取れない状況が続きました。

5月26日の宇宙開発委員会では、ハヤトと相乗りで打ち上げられた副衛星の「UNITEC-1」や「WASEDA-SAT2」とともに行方不明となっていることが報告されました。KSATの通信回復に向けた試みが続けられる中、6月1日には鹿児島大学の地上管制局で初めての信号受信に成功しました。この後、KSATは大気中の水蒸気分布の観測を開始する予定でしたが、残念ながら6月8日に再び音信不通となってしまいます。

運用の難航

その後、KSATの行方不明状態が長引いたため、空気抵抗による軌道の変化についての推定が難しくなり、指令の送信が行えない状況が続きました。7月8日には、北米航空宇宙防衛司令部（NORAD）もKSATの追跡情報の公開を終了し、最終的にはミッションの断念が発表されました。KSATの最期は、10日午前中に交信が試みられた後、大気圏再突入による消滅が14日ころに予想されています。

このように、KSATは短期間ながらも多くの注目を集めた人工衛星でしたが、運用においては予期しないトラブルが相次ぎ、貴重なデータを収集する前にミッションが終了してしまいました。KSATのプロジェクトは、今後の宇宙開発における技術的な教訓を提供するものと考えられています。

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