UNITEC-1

UNITEC-1（しんえん）: 日本の初の民間宇宙機

UNITEC-1、通称「しんえん」は、日本の大学宇宙工学コンソーシアム（UNISEC）が開発した画期的な宇宙機です。この衛星は金星へのフライバイを目指し、民間の宇宙機としては初めて地球の重力圏を超えることを予定しています。2010年5月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、合格な軌道に投入された実績を持っています。

プロジェクトの背景と計画

UNITEC-1の計画は2008年に遡ります。JAXAが金星探査機「あかつき」の相乗り衛星を募集し、その結果、民間宇宙機での金星探査が可能となりました。しかし、距離による通信の難しさなどから、重力圏を離脱するには大きな課題が残されていました。このため、さまざまな大学が参加し、試験用オンボードコンピュータ（UOBC）の開発競争が行われました。

2009年の夏、耐真空、耐熱、耐振動試験を経た結果、6つの大学が選定され、その技術がUNITEC-1に搭載されることになりました。各大学は、ミッション中にUOBCがメイン・オンボードコンピュータ（MOBC）から受信したデータを正確に解読できるかを試験する役割を担い、さらには科学観測も実施する予定でした。

サクセスレベル

プロジェクトには明確な成功指標が設けられています。最低限の成功（ミニマムサクセス）は、試験結果の受信・解読が1回でも成功することと定義されており、フルサクセスでは予測される通信期間におけるデータの受信が求められます。さらに、エクストラサクセスでは、その後もデータの受信を続けることが期待されています。

UNITEC-1の設計

UNITEC-1は約35cm3の立方体型で、重さは約20kgです。機体の外側には太陽電池パネルが設置され、約25Wの電力を生成します。姿勢制御システムは搭載しておらず、全方向性アンテナを使って信号を送受信します。コミュニティからの助けも借りながら、電波の受信を試みることになり、特にアマチュア無線の協力が求められています。

参加大学

このプロジェクトには、22の大学と高専が参画しており、各大学が異なる分野での開発に貢献しました。例えば、通信系では鹿児島大学や創価大学、熱・構造系の課題は北海道大学や東北大学が担当しました。また、情報処理や電気系の開発も多くの大学によって行われ、総力を挙げたプロジェクトであることが伺えます。

事象の経過

UNITEC-1の試験が実施されたのは、宇宙機のデータ受信が可能な限られた期間内であり、その緊迫感がプロジェクト全体を通じて緊張感を生む要因となっています。打ち上げは2010年5月21日で、最初は延期になるも、無事成功し、すぐに初期の電波を受信することが確認されました。しかしその後、運用センターでは電波の受信ができなくなり、その後の状況が注視されています。

最終了報告では、最後に信号を受信した地点は地球から約27万kmという遠方であり、この時点でのデータ分析も続行中です。しかし、設計とは異なる内容の信号が確認され、低温による不具合が影響している可能性がありました。分析は難航しており、記録されたデータの解読もギリギリの状態です。

今後の展望

今後もUNITEC-1に関する情報は集まり、受信報告が続いていく見込みです。これにより、宇宙開発や教育目的でのデータの蓄積が期待されています。UNITEC-1の試みは、日本の民間宇宙産業における重要な一歩であり、今後の科学技術の発展に寄与することが期待されています。

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