KV-85

KV-85の概要

KV-85（ロシア語: КВ-85）は、ソビエト連邦によって開発された重戦車であり、従来のKV-1を改良したモデルです。この戦車は、詳細な設計変更と新たな武装を搭載し、陸上戦における性能を向上させることを目的としました。

開発背景

KV-1は当初、非常に重装甲で強力な戦車として評価されていましたが、実際にはその重量が原因でトランスミッションに問題を引き起こし、兵士たちからの評判が芳しくありませんでした。また、76.2mmの砲を搭載していたため、後の中戦車T-34と比較すると火力においても劣る状況にありました。このため、KV-1の後継機としてKV-1Sが開発され、機動性と信頼性は改善されたものの、耐弾性という重要な利点を損なう結果となりました。

さらに、新型中戦車T-34-85が85mmの戦車砲を装備することが決まったため、KV-1Sはその存在意義を危うくすることとなります。KV-1Sへの85mm砲の搭載は試みられましたが、砲塔内部のスペースが不足していたため、操作が困難という課題が浮上しました。

設計と特徴

KV-85伝説の設計は、ドイツの新型戦車が前線に投入されたことを受けて、急務として進められました。キーロフ工場第2特別設計局のニコライ・L・ドゥホフのチームは、KV-1Sの車体に試作中の砲塔を搭載することに決定しました。この試みの結果、砲塔リングが拡大され、車体上部には張り出しが設けられました。また、無線機が砲塔に移動したことで、前方機銃手が不要となり、車体の機銃は固定式に変更されました。

新型の85mm高射砲（D-5T）が搭載され、KV-85は1943年7月に試作が完成します。その後、1943年9月から11月にかけて143輌が生産され、IS-1戦車の配備までのつなぎとして利用されました。

運用実績

KV-85は新型のドイツ戦車に対して特別に優れた性能を発揮したわけではありませんが、全体的にはバランスの取れた戦車として評価されました。第7、第11、第15、第29の各親衛重戦車連隊には、各連隊に21輌ずつが配備され、実戦に投入されました。激しい戦闘により多くのKV-85が失われましたが、残存した車両は終戦までの間、運用され続けました。また、朝鮮戦争では中国を経由して朝鮮人民軍に引き渡されることもありましたが、戦闘の詳細な記録は残っていません。

出典と関連項目

KV-85は、その名を冠したゲーム『World of Tanks』や『War Thunder』でも登場し、プレイヤーにその存在を知らしめています。また、関連項目としてKVシリーズの他の戦車であるKV-1、KV-2、IS-1などがあり、これらの装甲戦闘車両の歴史や技術について興味を持つ人々にも関心を寄せられています。

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