KX-3 (航空機)

KX-3：超大型飛行艇の幻

KX-3は、大日本帝国海軍の要望に応じて川西航空機が開発を進めた超大型飛行艇で、別名KX-03とも称されます。この飛行艇の実機は製造されることはありませんでしたが、1943年から1944年にかけての研究において、様々な技術的検討が行われました。

概要

1943年の初頭、海軍が川西に対し500トン級飛行艇の技術的可能性を調査するよう要請したことから、KX-3の研究が始まりました。このプロジェクトでは、竹内為信技師がチームリーダーとして指揮を取り、菊原静男技師が協力者として関与しました。全備重量100トンから500トンまでの大型機の研究の一環としてKX-3に焦点が当てられ、主翼の設計に着手しました。

風洞実験や水槽実験を通じて、主翼構造の重量算出と艇体の設計が進められました。そして、1943年4月から1944年1月までの研究期間中に、有望な航続力についてのデータも取得されました。

特徴と設計

KX-3の全幅は180メートルに達し、これは1個大隊分の兵員を輸送する能力を持つとされていました。主翼は一部が木材製で、エンジンは全て主翼の上面に取り付けられる形で配置されていました。

当初、この飛行艇に搭載されるエンジンは、出力3700馬力のレシプロエンジンが予定されていましたが、後に陸軍航空技術研究所が開発していた「ネ201」というプロペラ・タービン・ロケットエンジンと三菱重工業製の「ネ330」軸流ターボジェットエンジンを組み合わせる形に変更されました。

研究の進展と協力

同時期に、海軍は東京工業大学の倉西正嗣教授グループや大阪帝国大学の太田友弥教授グループにも500トン機の研究を依頼していました。倉西教授のグループは独自の構造設計法を用いて重量の軽減を目指し、太田教授のグループは鋼製化に関する研究を進めていました。これらのプロジェクトは協力しながら1945年まで続けられましたが、倉西教授はこの計画の実現可能性について慎重な見解を示し、太田教授のグループは150トン程度の機体が妥当との結論を出しました。

諸元（想定値）

• - 全長：162.0 m
• - 全幅：180.0 m
• - 翼面積：1,150 m²
• - 最大飛行重量：460,000 kg以上
• - エンジン：陸軍航研 ネ201 ターボプロップ（プロペラ出力7,000 hp） × 12、三菱 ネ330 軸流ターボジェット（推力1,300 kg） × 6
• - 巡航速度：740 km/h
• - 航続距離：18,520 km（搭載量34,000 kg時）
• - 乗員：62名
• - 兵員：900名

結論

KX-3は、技術的な挑戦と多大な期待を背負ったプロジェクトであり、その実現には数多くの困難が伴いました。それでも、当時の航空技術の進展に寄与する重要な試みであったと言えるでしょう。

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