Kamedas

漫画家・秋本治氏による人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』（通称『こち亀』）の世界を網羅的に解説した公式資料集が、1993年3月4日に刊行された『Kamedas』です。その正式名称は『こちら葛飾区亀有公園前派出所大全集 Kamedas』といい、タイトルの通り、作品に関するあらゆる情報やデータが詰まった一冊となっています。

『Kamedas』の企画は、当初、連載開始15周年を記念して立ち上げられました。しかし、編集作業に予想以上の時間を要したため、実際の刊行は連載17年目にあたる1993年となりました。内容は、単行本第1巻から当時の最新刊である第76巻までのエピソードを中心に構成されていますが、一部には第78巻や第79巻の内容も含まれるなど、刊行時期のギリギリまで情報が更新されていたことがうかがえます。

発売当時の広告では「データで読む・情報で視る“こち亀”版イミダス登場!!」というキャッチコピーが用いられ、その情報量の豊富さをアピールしました。また、帯には「グーテンベルク以来の出版界最大の怪挙!!」という、作品らしい大げさながらも話題を呼ぶフレーズが記されています。

そして、『こち亀』連載25周年を迎えた2001年12月11日には、続編となる『Kamedas2』が発売されました。こちらは、前巻以降の単行本の内容を中心にまとめられており、第127巻までの情報が収録されています。

これらの大全集は、単にストーリーやキャラクター、設定などのデータが整理されているだけでなく、ファンにとって貴重な資料や読み物も多数掲載されている点が大きな魅力です。例えば、著名人や作品関係者と秋本治氏との対談は、作品の裏側や作者の考えを知る上で興味深い内容となっています。『Kamedas』には、タレントのなぎら健壱氏や、初代から5代目までの歴代担当編集者（堀内丸恵氏、中村泰造氏、伊東健介氏、佐々木尚氏、大塚久永氏）が登場。一方、『Kamedas2』では、漫画家のさいとう・たかを氏や、テレビアニメ版の関係者（ラサール石井氏、森尾由美氏、宮本充氏、高松信司氏、松下洋子氏ら）との座談会が収録されています。

さらに、これらの大全集には、この本のためだけに描き下ろされた新作漫画や、普段は目にすることの少ない合作、過去の掲載誌から再録された希少な作品などが収められているのも特筆すべき点です。『Kamedas』には、両津勘吉の誕生秘話を描いた描き下ろしや、小林よしのり氏との合作でかつて増刊号に掲載された作品などが含まれます。『Kamedas2』では、赤塚不二夫氏、本宮ひろ志氏、小林よしのり氏、藤井みほな氏、矢代まさこ氏といった多彩な漫画家との描き下ろし合作漫画が多数実現。また、少女漫画誌『りぼん』に掲載された作品や、デジタル誌『e-ジャンプ』掲載作品の再録、さらには作中の登場人物が漫画を描いたという設定のユニークな作品群など、非常にバラエティ豊かな漫画作品が楽しめます。

その他、各界の著名人が『こち亀』や秋本治氏への思いを綴ったメッセージも寄せられており、漫画家によるイラスト付きの寄稿も多数含まれています。

『Kamedas』と『Kamedas2』は、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』という稀代の長寿漫画の歴史、膨大なエピソード、そしてそこから生まれる多様なネタや設定を網羅的に調べることができる、まさに百科事典のような存在です。単なるデータ集にとどまらない、描き下ろし漫画や貴重な対談、寄稿文なども収録されているため、長年のファンはもちろんのこと、『こち亀』世界をより深く知りたいと願う読者にとって、欠かすことのできない愛蔵版といえるでしょう。

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