Kh-29 (ミサイル)

Kh-29 空対地ミサイル：ソ連が生んだ精密誘導兵器

Kh-29（露：Х-29）は、ソビエト連邦が開発した空対地ミサイルであり、NATOコードネームはAS-14 ケッジ（AS-14 Kedge）として知られています。このミサイルは、地上目標への精密攻撃を目的として開発され、1980年頃から運用が開始されました。

概要

Kh-29には、テレビ誘導方式を採用したKh-29T、赤外線テレビ誘導方式のKh-29D、そしてレーザー誘導方式のKh-29Lといった複数の派生型が存在します。これらの派生型は、それぞれ異なる誘導システムを使用することで、多様な戦術状況に対応できるよう設計されています。

外観上の特徴としては、ミサイルの先端部、前部、後部の3箇所に、それぞれ4枚のフィンが配置されています。前部と後部のフィンは動翼として機能し、飛行中のミサイルの姿勢制御と操縦を担っています。

Kh-29は、Su-27 フランカーやMiG-29、MIG-31など、旧ソ連およびロシアで開発された幅広い戦闘攻撃機に搭載可能です。この汎用性の高さが、Kh-29が長年にわたり運用され続けている理由の一つと言えるでしょう。

運用国

2023年時点でのKh-29の主な運用国は以下の通りです。

ベラルーシ：ベラルーシ空軍がKh-29を保有。
カザフスタン：カザフスタン防空軍がKh-29を保有。
ロシア：ロシア海軍航空隊がKh-29Tを、ロシア空軍がKh-29を保有。
ウクライナ：ウクライナ空軍がKh-29を保有。

これらの国々では、Kh-29は地上目標への攻撃能力の中核を担っており、様々な軍事作戦で使用されています。

要目 (Kh-29T)

以下に、Kh-29Tの主要な性能諸元を示します。

全長：3.87m
胴体直径：38cm
自重：650kg
最大射程：12km
* 弾頭：317kg

これらのデータから、Kh-29Tが比較的大型のミサイルであり、強力な破壊力を持つことがわかります。最大射程は12kmと比較的短距離ですが、精密な誘導能力により、目標への命中精度が高いことが特徴です。

Kh-29は、ソ連時代から現代に至るまで、多くの国で運用されている実績のある空対地ミサイルです。その多様な派生型と高い汎用性により、今後も長期間にわたり使用され続けると考えられます。

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