Kontakt
Kontakt (コンタクト) について
Kontaktは、ドイツのNative Instruments社が開発した、プロフェッショナル向けのソフトウェアサンプラーです。2002年のリリース以来、数多くの音楽プロデューサーやサウンドデザイナーに利用され、業界標準としての地位を確立しています。
概要
Kontaktは、大容量のファクトリーライブラリーを内蔵しており、Native Instruments自身が提供する豊富なサンプルライブラリーに加え、サードパーティからも数千種類ものライブラリーが販売されています。これにより、ユーザーは様々なジャンルのサウンドをKontakt上で手軽に利用できます。
また、ユーザー自身が独自のサンプルプログラムを作成することも可能です（Kontakt Playerでは不可）。この柔軟性が、Kontaktがプロの現場で広く支持される理由の一つです。Kontaktは、MacintoshとWindowsの両方でスタンドアロンアプリケーションとして動作するほか、主要なDAW（デジタルオーディオワークステーション）のプラグインとしても利用可能です。64ビット環境にも対応しています。
歴史
- - 2002年: 初代Kontaktがリリースされました。このバージョンでは、256音の同時発音数、16パートのマルチティンバー、1ノートあたり最大128レイヤー、テンポ同期LFO、エンベロープジェネレーター、1サンプルあたり最大8つのループポイント、17種類のフィルタータイプ、多数のエフェクト、3GB以上のサウンドサンプルが搭載され、高品質かつ多機能なソフトウェアサンプラーとして登場しました。プラグインとしては、DirectX, DirectConnect, VST, MASに対応していました。
- - 2003年: Kontakt 1.2では、ハードディスクから直接サウンドサンプルを再生するDFDモードに対応し、より大きなサンプルサイズを扱えるようになりました。さらに、リリーストリガーや単一ノートナンバーに複数のサンプルを割り当てるサンプルグループ機能が追加され、表現力が向上しました。
- - 2005年: Kontakt 2では、CPUとRAMへの負荷軽減、マルチプロセッサマシンでの処理改善によるパフォーマンス向上、サウンドバンクの読み込み時間短縮、他社製サンプルフォーマットとの互換性向上が図られました。また、サンプルの音程を移調した際に発生するアーチファクトを除去するHQI(高音質補完)モード、リミッターやコンプレッサーなどの新しいエフェクト、サンプルプログラム内で複雑な処理を行うためのスクリプト言語KSPが搭載されました。
- - 2008年: Kontakt 3では、GUIの改善、サウンド毎に重要なパラメータをグループ化したディスプレイ（パフォーマンスビュー）の追加、新しいフィルター、アンプ、スピーカーシミュレーション、コンボリューションリバーブなど、多数の新エフェクトが追加されました。また、オーケストラ、ワールド、ヴィンテージ、バンド、シンセ、アーバンビートなど、幅広いジャンルのサンプルバンクがファクトリープリセットとして追加されました。
- - 2009年: Kontakt 3.5では、64bitOSに対応し、64ビットメモリアドレッシングへの最適化、マルチコアプロセッサやマルチプロセッサシステムへの最適化、MIDIラーン機能が搭載されました。
- - 2010年: Kontakt 4では、GUIが改善され、サンプルグループ単位で様々な処理が行えるAET(Authentic Expression Technology)が搭載されました。また、FFTフィルタを使用した複数サンプルをモーフィングするベロシティモーフィング、アーティキュレーションモーフィング、プリセットブラウザーの再設計、10GBに及ぶ新しいサンプルライブラリが追加されました。
- - 2012年: Kontakt 5では、多数のフィルタータイプが追加され、サンプラーエンジンの再設計により音質が向上しました。また、各種エフェクトの追加、単一ノートでターン、ループ、グルーブ再生などの複雑な処理を行うインストゥルメント作成を可能にするMIDIファイルプレイヤー、複雑な音声ルーティングを可能にする16バスミキサーシステム、AAX形式のプラグイン対応が追加されました。さらに、16種類のクラシックなシンセサイザーとキーボードのサウンドをサンプリングしたRETRO MACHINES MK2がファクトリープリセットに追加されました。
- - 2018年: Kontakt 6では、ウェーブテーブル・エンジンを活用したPlay Series instruments（3種）がファクトリーライブラリとして追加されました。Delay、Reverb、Wahを含む5種類のエフェクトが追加され、ライブラリやインストゥルメント開発のワークフローを向上させるCREATOR TOOLSが同梱されました。
- - 2021年: Kontakt 6.6では、VST3形式に対応し、CreatorToolとの連携が強化されました。このバージョンから32bitVST2形式は提供されなくなりました。
- - 2022年: Kontakt 7.0では、新しいGUI、HiDPI Brouserが採用されました。また、Player非対応のライブラリをLibraryブラウザに追加できるようになりましたが、以前のバージョンに比べて使用までの手順が増えました。
ファクトリー・ライブラリー
Kontaktには、大容量のファクトリー・サンプル・ライブラリーが付属しています。Kontakt 4の時点では、43GBの容量があり、Band、Choir、Orchestral、Synth、Urban Beats、Vintage、Worldといった多様なカテゴリーに分類されています。クラシック音楽から映画音楽、ロック、ポップス、ジャズ、テクノ、ワールドミュージックなど、幅広いジャンルに対応しています。Kontakt 5では、Retro Machines MK2が、Kontakt 6ではウェーブテーブル・エンジンを活用した3種のPlay Series instrumentsが無償ライブラリーとして追加され、総容量は55GBを超えました。
KONTAKT PLAYER
KONTAKT PLAYERは、Kontaktの簡易版であり、無償で提供されるか、REAKTOR PLAYERやGUITAR RIG PLAYERとともにKOMPLETE ELEMENTSとして販売されています。また、市販されているKontakt対応ライブラリ（一部を除く）の再生用として添付されています。現行製品はKONTAKT PLAYER 5です。以前はライブラリごとにユーザーインターフェースが異なっていたものの、2以降は他のライブラリも使えるようになりました。3以降はKontaktの体験版としても機能し、30分の使用制限付きですが、Kontakt Playerに添付されているライブラリは無制限に使用可能です。
サウンド・ライブラリー
Kontaktのサウンドライブラリーは、Native Instrumentsだけでなく、多くのサードパーティからも提供されています。以下に主なライブラリーを挙げます。
- - キーボード:
- Galaxy II Grand Piano / KP4 (Best Service)
- - ギター／ベース:
- Scarbee Rickenbacker Bass (Native Instruments)
- ELECTRI6ITY (VIR2)
- ACOUSTIC LEGENDS HD (VIR2)
- Chris Hein Bass (Best Service)
- - ドラム／パーカッション:
- Heavyocity Damage (Native Instruments)
- - ホーンセクション:
- Chris Hein Horns Compact (Best Service)
- Chris Hein Horn Pro Complete (Best Service)
- First Call Horns (Big Fish Audio)
- - オーケストラ楽器:
- Cinematic Strings 2 (Cinematic Strings)
- Symphobia
- Symphobia 2
- Orchestral Brass Classic (Project SAM)
- Orchestral Essentials (Project SAM)
- Session Strings (Native Instruments)
- Session Strings Pro (Native Instruments)
Kontaktは、その高い拡張性と柔軟性により、あらゆるジャンルの音楽制作に対応できる強力なツールです。プロの音楽制作現場はもちろん、アマチュアミュージシャンにとっても、音楽制作の可能性を広げる上で欠かせない存在と言えるでしょう。
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