L級駆逐艦 (初代)

L級駆逐艦：イギリス海軍の駆逐艦

L級駆逐艦は、イギリス海軍が第一次世界大戦前に建造した駆逐艦の艦級です。当初は「ラフォーレイ」をネームシップとするラフォーレイ級とも呼ばれていました。このクラスは、それまでの駆逐艦の設計思想を踏襲しつつ、性能向上と新たな技術導入が図られています。

開発の背景

20世紀初頭、イギリス海軍は社会保障の財源確保のため、海軍増強計画の見直しを迫られていました。その結果、駆逐艦の建造においては、コスト削減を重視する傾向がありました。しかし、ドイツ帝国海軍の大型水雷艇の性能向上に対抗するため、1911-2年度計画のアカスタ級（K級）から、再び大型化・高性能化が志向されるようになります。この流れの中で、1912-3年度計画において建造されたのが、このL級駆逐艦です。このクラスでは、アケロン級（I級）以降、民間造船所の技術力を活用し、海軍本部の基本設計に加えて、各造船所に自由裁量を認めた「特型」も建造されました。

設計の特徴

L級駆逐艦は、船首楼型を採用しており、基本的な船体設計はアカスタ級（K級）を踏襲しています。しかし、全長を若干短縮する代わりに、幅と吃水を増やすことで、凌波性を向上させています。また、減揺装置としてフリューム式減揺タンクを初めて装備しました。

機関構成は、ヤーロウ式重油専焼水管ボイラー4缶とパーソンズ式直結蒸気タービン2軸を基本としています。ただし、一部の艦ではブラウン・カーチス式直結タービンや、オール・ギアード・タービン方式が採用されました。特にオール・ギアード・タービンは、従来の直結タービンと比較して、推進器効率や燃費が大幅に向上しています。

装備

L級駆逐艦の主砲は、40口径10.2cm砲3門です。アカスタ級（K級）と同様ですが、発射速度を向上させたQF 4インチ砲Mk.IVに更新されました。また、対空兵装として、当初はマキシム機関銃が搭載されていましたが、後に37mm機銃、さらに40mm機銃へと強化されています。水雷兵装も強化され、53.3cm連装魚雷発射管2基を装備しています。

同型艦と艦名

L級駆逐艦は、当初は文学作品に因んだ艦名が予定されていましたが、1913年9月30日に全ての駆逐艦にアルファベットの艦級名を付与することになり、L級となりました。そのため、全艦がLで始まる艦名に改名されました。「フロリゼル」から改名された「ラフォーレイ」は、本級のネームシップとして、ラフォーレイ級と呼ばれることもあります。

戦時追加建造

1913-4年度計画以降の建造はM級駆逐艦に移行していますが、第一次世界大戦の勃発を受け、戦時緊急措置として1914-5年度計画でL級駆逐艦2隻が追加建造されました。

L級駆逐艦は、イギリス海軍の駆逐艦戦力の中核を担い、第一次世界大戦で重要な役割を果たしました。その設計と装備は、後の駆逐艦の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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