LABYRINTH II

来生たかお『LABYRINTH II』：セルフカバーで紡ぐ、新たな魅力

1991年にリリースされた来生たかおの企画アルバム『LABYRINTH II』は、彼の歌手デビュー15周年を記念した作品です。このアルバムは、来生がこれまで他のアーティストに提供してきた楽曲を自らカバーするという、特別なコンセプトで構成されています。

選曲へのこだわり

選曲は、来生えつこの意向も参考にしつつ、来生自身が歌いたい楽曲を厳選。ファンからのリクエストも取り入れ、H2Oに提供した「僕等のダイアリー」や薬師丸ひろ子に提供した「語りつぐ愛に」のバラードバージョン、シングル「疑惑」のB面に収録されていた「時よ ゆっくり」なども候補に挙がりました。

フランス録音による新たな息吹

編曲には、ポール・モーリア楽団の若手アーティストを起用。生のストリングスをふんだんに使用することで、来生の楽曲に新たな息吹を吹き込んでいます。前作『LABYRINTH』と同様に、爽やかさや郷愁を感じさせるサウンドに仕上がりました。

『VISITOR 3』という裏テーマ

このアルバムは、提供曲のカバーで構成された企画アルバムとしては『Visitor』に続く第3弾となるため、関係者の間では『VISITOR 3』とも呼ばれていました。

収録曲について

アルバムには、小堺一機に提供した「With」、市川染五郎（現・松本幸四郎）に提供した「ひと月ののち」、平井菜水のデビュー曲「めざめ」、髙橋真梨子のアルバムに収録された「すべて霧の中」、雪村いづみのシングル「いとしい あした」など、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。各楽曲は、来生ならではの解釈とアレンジによって、新たな魅力を放っています。

SIDE 2には、桑江知子のアルバムに収録された「鏡の向こう側」、中森明菜に提供した「まぶしい二人で」、倉橋ルイ子がシングルとしてリリースした「罪な雨」、伊東ゆかりのアルバムに収録された「シルエット」、そしてギルバート・オサリバンとの共作シングル「出会えてよかった」などが収録されています。

来生たかおの音楽世界を堪能できる一枚

『LABYRINTH II』は、来生たかおが自身の音楽のルーツを辿りながら、新たな表現に挑戦した意欲作と言えるでしょう。提供曲をセルフカバーすることで、楽曲に新たな命を吹き込み、聴く人に新鮮な感動を与えてくれます。来生たかおの音楽世界をより深く理解するための、必聴の1枚です。

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