LOVIN' YOU (山下久美子の曲)

シングル「LOVIN' YOU」について

「LOVIN' YOU」（ラヴィン・ユー）は、日本のシンガーである山下久美子が1983年12月1日にリリースした9枚目のシングルです。この曲は、前作「こっちをお向きよソフィア」から約5ヶ月後に登場し、いずれの収録曲もスタジオ・アルバムには含まれていないものとなっています。

収録曲とその背景

A面の「LOVIN' YOU」に加えて、B面には「オートリバースで恋してる」が収められています。このB面の曲は、AKAIの「プロパティ」のイメージ・ソングとしても起用されており、リリース後、多くのファンに愛される楽曲となりました。また、「LOVIN' YOU」は、同年に発表されたベスト・アルバム『SWEETS LOVE BALLAD COLLECTION』にも収録されており、B面の「オートリバースで恋してる」は1992年にリリースされた『Sweet-est』の中にも登場します。

制作の背景と制作チーム

このシングルの制作を担当したのは、山下のディレクターである福岡智彦です。彼は年内に新しいシングルを出したいと考えており、当時人気を博していたポリスの「見つめていたい」にインスパイアされて、クリスマスシーズンに合う8ビートのラブソングを思いつきました。楽曲は、アルバム『Sophia』のサウンドプロデュースを手掛けたヒュー・マクラッケンに作曲依頼がされ、快く引き受けられました。しかし、福岡はその時点ではマクラッケンの楽曲を聴いたことがなく、大沢誉志幸にも曲の依頼を行いました。

届いたデモテープを試聴した福岡は、どちらの提案もヒットポテンシャルが低いと感じましたが、大沢の曲の方が魅力的だと思いながらも、最終的にはマクラッケンの曲を選ぶことに決めました。このマクラッケンが手掛けた曲は、後にヒットとなることが期待されました。

特筆すべき点は、大沢が持参したデモのタイトルが「凍てついたラリー」だったことです。この曲は他のアーティストに渡ることを目的としていましたが、最終的には山下久美子の手元に寄り、その後「そして僕は途方に暮れる」という楽曲に発展しています。

歌詞とアレンジメント

「LOVIN' YOU」の歌詞は、三浦徳子が担当しており、編曲は大村雅朗によるものです。この曲は山下久美子のシングルの中で唯一、三浦が作詞、大村が編曲を行なった作品です。大村をアレンジャーとして選んだ理由は、福岡が当時彼を好んでいたためです。一方で、三浦に作詞を依頼した際の経緯については、福岡は記憶にあまり残っていないと語っています。

まとめ

「LOVIN' YOU」は、ポップでありながらも心に響くラブソングとして、山下久美子の豊かな表現力が楽しめる作品です。発表から年月を経た今でも多くのファンの心に響いている楽曲であり、彼女の音楽キャリアの中で特別な位置を占めるシングルです。このシングルを通じて、彼女の音楽が持つ魅力を感じながら、当時の日本の音楽シーンを振り返ることができます。

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