LSM-1級中型揚陸艦

LSM-1級中型揚陸艦

LSM-1級中型揚陸艦は、アメリカ海軍で使用された揚陸艦シリーズであり、558隻が発注された中、最終的には498隻が完成しました。この艦級は、1940年代における陸上戦力の展開を支えるために開発され、特に上陸作戦において戦車や補給物資の輸送に特化した設計が施されています。

背景

この艦級の起源は、イギリス海軍による戦車揚陸艇（LCT）の開発にあります。イギリス海軍は、短距離で穏やかな海域での戦車輸送のために、さまざまな型のLCTを建造しました。1940年からは370トン級のLCT Mk.1が建造され、続いて500トン級や600トン級、さらには小型化されたMk.5や少し大きくなったMk.6も登場しました。この際、アメリカの海軍もこれらの戦車揚陸艇の運用実績から、大型のバージョンを求めるようになり、結果としてLSM-1級中型揚陸艦が開発されることとなりました。

設計と構造

LSM-1級の設計は、従来型のLCTとは異なり、LST-1級の要素を取り入れた独自の形状を持っていました。まず、艦上に上甲板を持たず、艦橋を右舷側に寄せたことで、艦首部には観音開きの門扉とバウ・ランプが設けられ、船内へのアクセスが容易になっています。車両甲板は艦尾まで全通しており、中戦車であれば6両、重戦車であれば3両を搭載可能で、艦尾には特定の扉はなく、行き止まりになっています。

車両甲板の両舷には防水区画が設置されており、ここは居住区ではなく倉庫や上下水道施設、調理室などに利用されています。また、艦橋や銃座には弾片防御のために高張力鋼が使用されていました。居住区は車両甲板下にあり、整備が行いやすいように機械室も近接配置されています。

主機関と推進装置

LSM-1級中型揚陸艦は、フェアバンクス・モースのディーゼルエンジンを2基搭載しており、各エンジンはそれぞれ1軸の推進器に直結しています。これにより、艦の機動性が向上しています。また、艦尾船底部にはスケグが配置され、推進器の保護とともに団結した流体力学が考慮されています。

ロケット中型揚陸艦（LSM(R)）

さらに、LSM-1級中型揚陸艦は、その設計を流用してロケット中型揚陸艦（LSM(R)）にも改造されました。これらの艦は、車両甲板上にロケット発射機や火砲を搭載することで、火力支援の役割も果たしました。特に、LSM(R)-188級は多数のロケット発射機を備えた初期型であり、後のLSM(R)-401級においてはさらなる改設計が進められました。

このように、LSM-1級中型揚陸艦は単なる揚陸艦にとどまらず、戦闘支援のための艦としても進化を遂げ、アメリカ海軍の上陸作戦を支えた重要な艦級となりました。

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