フェアバンクス・モース

フェアバンクス・モースの歴史

フェアバンクス・モース（Fairbanks-Morse、略称F-M）は、工業用計量器を中心とした製造業者としての歴史を持つアメリカの企業です。この会社は1823年に設立された鉄工所からスタートし、発明家サディアス・フェアバンクスによって設立されました。彼がバーモント州セント・ジョンズベリーで開いたこの鉄工所は、プラウやストーブの製造から始まり、その後計量器製造に発展しました。

設立から発展へ

1832年に計量器の特許を取得した後、フェアバンクスは事業を拡大し、E&T・フェアバンクス社として国際的な展開を始めました。同社の計量器は特に鉄道や船舶での需要に応え、多くのメダルを受賞しました。これにより、アメリカ国内外での名声を確立しました。さらに、ウィスコンシン州のエクリプス・ウインドミルが農業用として広まり、一族の名が結びついて成長しました。

19世紀の終わりまでには、フェアバンクス・モースはアメリカとカナダ全土に支店を持つ企業へと成長しました。彼らは、油やナフサを使用したエンジンの製造をアグリカルチャーや発電所向けに行い、新技術や製品を次々と導入しました。

エンジン事業の拡大

1912年にルドルフ・ディーゼルの特許がアメリカで切れると、F-Mは大型エンジン製造へとシフトしました。特に大型Y型セミ・ディーゼルエンジンをはじめとする多様なモデルを開発し、農業用や商業用、さらには国防用としての需要にも応えました。この時期、フェアバンクス・モースは戦争時代のアメリカ海軍や鉄道会社に大量のエンジンを供給しました。

船舶および鉄道用エンジン

第二次世界大戦中、フェアバンクス・モースは多数の潜水艦や輸送艦にエンジンを供給し、特に海上輸送において重要な役割を担いました。また、鉄道用エンジンの製造にも力を入れ、300馬力の気動車やスイッチャーなどを生産しました。その結果、フェアバンクスのエンジンは地域交通の重要なインフラとして広く使用されました。

戦後の展開と衰退

戦後、フェアバンクス・モースは新たな技術革新を追求し続けましたが、徐々に機関車製造から撤退していきます。市場の変化や技術的な課題が影響し、1950年代にはアメリカ国内での需要がなくなりました。特に、他のメーカーに対して技術的な欠陥やサポート不足が指摘され、信頼を失っていくことが企業の衰退に拍車をかけました。

1956年には経営陣が法廷で所有権を争った結果、企業の経営は不安定になり、最終的には新たなオーナーの下で再構築される道を歩むことになります。それでも、長らく伝統を誇った計量器製造の分野で運営を続け、他国でも製品を展開していました。

現在のフェアバンクス・モース

現在、フェアバンクス・モースはエンプロ・インダストリーズの傘下にあり、新たに複合燃料エンジンや発電機の製造も行っています。また、ポンプ事業はカンザス州に拠点を移し、依然として信頼されるパートナーとしての地位を保っています。社会変革とともに変わる技術要求に応えつつ、今なお歴史あるブランドとしての理念を大切にしています。

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