La RINASCENTE

『la RINASCENTE』

KANの音楽キャリアにおいて新たな試みとなったアルバム、『la RINASCENTE』（ラ・リナシェンテ）は、2017年3月15日にリリースされました。本作は、彼にとって初めてとなる、自身の楽曲を弦楽四重奏という編成でセルフカバーした作品です。

概要

前作にあたる『6×9=53』やライブ盤『弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば』を経て発表された本作は、KANが長年温めてきたセルフカバー企画として実現しました。特筆すべきは、全収録曲のアレンジをKAN自身が手掛けている点です。彼の過去の作品群の中から、『愛は勝つ』をはじめとする名曲たちが選ばれ、繊細かつ丁寧な編曲によって弦楽四重奏のために再構築されています。アコースティックな響きを持つ弦楽器 quartet との共演により、これらの既発楽曲に新たな生命が吹き込まれ、オリジナルの魅力とは異なる、クラシカルな深みや洗練された響きを持つ作品へと昇華されています。

このセルフカバー企画は単なる過去の焼き直しではなく、原曲のメロディーやコード進行を最大限に活かしつつ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの四重奏ならではの音色や対位法的なアプローチを取り入れた意欲的な試みです。これにより、聴き慣れた楽曲も新鮮な響きで耳に届き、新たな発見を提供してくれます。

本作はファンからの高い評価を得て、この弦楽四重奏によるセルフカバーというスタイルがKANの活動における重要な柱の一つとなるきっかけを作りました。そして、この成功を受けて、翌年には本作の続編とも言えるアルバム『la RiSCOPERTA』がリリースされることになります。

収録曲

本作には、KANの豊富なキャリアから厳選された全11曲が収録されています。うち10曲はKAN自身の作詞・作曲による楽曲であり、1曲はビートルズのカバーです。すべての楽曲のアレンジはKAN自身が担当しています。

1. Menuett fur Frau Triendl
作詞・作曲・編曲：KAN

2. 世界でいちばん好きな人
作詞・作曲・編曲：KAN

3. CLOSE TO ME
作詞・作曲・編曲：KAN

4. いつもまじめに君のこと
作詞・作曲・編曲：KAN

5. 月海
作詞・作曲・編曲：KAN

6. キリギリス
作詞・作曲・編曲：KAN

7. Here, There and Everywhere
作詞・作曲：ジョン・レノン&ポール・マッカートニー／編曲：KAN
※ビートルズのカバー楽曲。

8. 愛は勝つ
作詞・作曲・編曲：KAN
※KANの代表曲の一つ。本作の重要な再構築楽曲です。

9. まゆみ
作詞・作曲・編曲：KAN

10. 彼女はきっとまた
作詞・作曲・編曲：KAN

11. 星屑の帰り道
作詞・作曲・編曲：KAN

これらの楽曲は、弦楽四重奏の温かく豊かな響きによって、オリジナルバージョンとは一味違う魅力を放っています。クラシック音楽のエッセンスを取り入れつつも、KANのポップスとしての本質は失われておらず、見事な融合が実現しています。

出典

本記事は、公式発表および関連資料に基づき作成されています。

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