La'cryma Christi

La'cryma Christi（ラクリマ・クリスティー）は、日本のヴィジュアル系ロックバンドです。1991年に大阪府で前身となるSTRIPPE-D-LADYとして活動を開始し、後にヴィジュアル系シーンを牽引する存在となりました。かつてはMALICE MIZER|MALICE_MIZER、FANATIC◇CRISIS、SHAZNAと共に「ヴィジュアル四天王」と称され、多くの音楽ファンから注目を集めました。

バンドは1994年12月、ベースのKITA-JIが脱退した後にSHUSEを迎え入れ、La'cryma Christiと改名しました。このバンド名は、イタリア語辞典を引いたヴォーカルのTAKAが名付けたもので、「キリストの涙」を意味します。そこには、「誰も見たことがないキリストの涙の色を、自分たちのステージングと楽曲で表現したい」という深い想いが込められています。

インディーズでの活動を経て、1997年3月12日にラストシングル「Forest」を発表。同年5月8日には、シングル「Ivory trees」で念願のメジャーデビューを果たしました。続くシングル「THE SCENT」、「南国」を精力的にリリースし、11月にはメジャー1stアルバム『Sculpture of Time』を世に送り出しました。

バンドの知名度を一気に高めたのは、1998年5月8日リリースの4thシングル「With-you」です。この楽曲はオリコンチャートで初めてトップ10入りを果たし、彼らの代表曲の一つとなりました。同年8月には、アニメ『Night Walker -真夜中の探偵-』エンディングテーマとして初のタイアップとなった「未来航路」をリリース。11月にはインディーズ時代の名曲を再構築した「In Forest」を含むシングル、そして2ndアルバム『Lhasa』を発表しました。

その後も「永遠」（ドラマ『天国のKiss』挿入歌）、「Lime rain」、「LIFE」、「JUMP!!」、「情熱の風」（ドラマ『京都迷宮案内』主題歌）、「HIRAMEKI」といったシングルや、アルバム『magic theatre』、『&・U』などをコンスタントに発表し、精力的な活動を続けました。2000年には初のベストアルバム『Single Collection』もリリースしています。

2004年には活動10周年を迎えますが、記念ライブではプロモーターの手違いにより会場確保に問題が発生し、振替公演が行われるというハプニングもありました。2005年3月には、音楽性の違いを理由にギターのKOJIがバンドを離れ、バンドは4人体制となります。この編成で6thアルバム『ZEUS』を発表しましたが、メンバーそれぞれの描くヴィジョンの違いが明らかになったことから、2007年1月20日に解散を発表し、16年の活動に一度終止符を打ちました。

解散後、ヴォーカルのTAKAとギターのHIROはLibraianを結成するなど、個々の音楽活動を継続しました。しかし、2009年10月24日、V-ROCK FESTIVAL '09にて、脱退していたKOJIを含むオリジナルメンバー5人による「一夜限りの」再結成を果たします。このステージ上で2010年のツアー開催を発表し、本格的な再始動への期待が高まりました。その後もメジャーデビュー15周年や20周年を記念したアニバーサリーツアーやライブを実施し、過去のライブ音源もリリースされています。

主要メンバーは、ヴォーカルのTAKA、ギター・コーラスのHIRO、ギターのKOJI、ベース・コーラスのSHUSE、ドラムスのLEVINの5人です。作曲はメンバーそれぞれが担当しており、「With-you」はTAKA、「In Forest」はHIRO、「未来航路」はKOJIが作曲を手がけています。ギターのKOJIは2005年に一時脱退しましたが、2009年の再結成時に復帰。その後も活動を続けていましたが、2022年4月15日に食道がんのため49歳で逝去されました。SHUSEとLEVINは大阪府出身で、SHUSEは現在も多方面で活動、LEVINはサポートドラマーとしても活躍しています。

彼らの音楽性は、プログレッシブ・ロックと形容されることがありますが、ドラムスのLEVINは「プログレが好きというより、他にないアレンジをしようとして自然にプログレッシブになっている」と語っています。ヴォーカルのTAKAは、ハイトーンが特徴的ですが、これは彼がコピーしていたヴォーカリストの影響と、ギターのサウンドにヴォーカルを通すための必要性から培われたものです。歌詞については、ストレートな表現を避け、多様な角度から書くことを意識しています。また、ライブを「ショー」と捉え、観客を楽しませるための演出やメイクも行いますが、最も重視しているのはあくまで「サウンド」であり、メイクはそれに付随するものだとメンバーは述べています。

メンバーそれぞれの音楽的ルーツは多岐にわたります。TAKAはジム・モリソン、ジャニス・ジョプリン、ロバート・プラント、オーティス・レディングといった伝説的なヴォーカリストを敬愛しています。SHUSEはスティクスやポリス、TOTO、カルチャー・クラブ、デュラン・デュランなどを入口に、ハードロックやヘヴィメタル、さらにはビートルズ、U2、フー・ファイターズなど幅広いジャンルから影響を受けています。HIROとKOJIはDEAD ENDやヴァン・ヘイレン、LOUDNESSなどを挙げ、KOJIは高見沢俊彦氏が作曲した小泉今日子の楽曲やHOUND DOGが音楽に興味を持つきっかけだったと語っています。

La'cryma Christiは、同時期にメジャーデビューしたLaputaと親交が深く、互いのレコーディングスタジオを行き来する関係でした。また、PUFFYや吉川ひなのといった著名なファンもおり、PUFFYが司会を務める番組にゲスト出演したこともあります。TAKAの友人であるたむらけんじやランディーズの高井俊彦もライブ会場に足を運ぶなど、多方面との繋がりがありました。

彼らはその独特なサウンドとヴィジュアルで、日本のロックシーンにおいて確固たる地位を築きました。解散と再結成を経てもなお、多くのファンに愛され続けています。

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