Lavabit

Lavabitは、かつてラダー・レビソンによって開設・運営されていた電子メールサービスです。2013年8月に一度サービスを終了しましたが、2017年1月に復活を遂げました。再開日をアメリカ大統領選挙の前日としたことについて、レビソンは「個人の政治的傾向に関わらず、憲法が保障する自由、正義、権利という共通の価値観を承認するため」と述べています。

歴史

Lavabitは、テキサス州を拠点とするNerdshack LLC（後にLavabit LLC）のプログラマーによって創設されました。きっかけは、Googleの無料メールサービスであるGmailが、ユーザーのメール内容を広告やマーケティングデータに利用しているのではないかというプライバシーへの懸念でした。Lavabitは、非対称暗号化技術を用いることで、ユーザーのメールのプライバシーを保護することを目指しました。その暗号化強度は非常に高く、諜報機関でも解読が困難であるとされていました。GhacksはLavabitを「現在最もセキュリティが強固な電子メールサービス」と評価していました。

2013年7月時点で、Lavabitのユーザー数は35万人に達し、無料アカウントと有料アカウントの両方が提供されていました。容量は無料アカウントで128メガバイトから、有料アカウントでは8ギガバイトまで幅がありました。

2017年8月の復活後、ユーザーデータベースの復元が進められ、招待コードを持つユーザーのみが新規登録できる状態になっています。

エドワード・スノーデン

2013年7月、[アメリカ国家安全保障局]による個人情報収集の手口を告発したエドワード・スノーデンが、モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港に滞在中に、人権弁護士や活動家との電子メール通信にLavabitを利用していたことが明らかになりました。この事実は、Lavabitの高いセキュリティ性とプライバシー保護能力を象徴するものとして注目されました。

サービス終了

2013年8月8日、Lavabitはサービスを終了し、ログインページは運営者ラダー・レビソンからのメッセージを掲載したページに置き換えられました。ザ・ニューヨーカー誌は、サービス終了の理由として、アメリカ国家安全保障局による国内監視の対象になったためだと推測しています。レビソンは、サービス終了について法的な理由で詳細を説明できないとしながらも、合衆国第4巡回控訴裁判所で憲法を守るための戦いに資金提供を呼びかけました。WIRED誌は、レビソンが令状や国家安全保障書簡による顧客情報の追跡に抵抗しており、過去に少なくとも一度は定期的な令状に従っていたと報じています。

Lavabitは、アメリカ合衆国政府からの情報公開およびアクセス命令に従わずに運営を停止した、最初のテクノロジー企業とされています。暗号化電子メールサービスを提供していたSilent Circleも、Lavabitに続いて暗号化メールサービスを終了しました。

Lavabitのサービス終了は、政府機関による監視とプライバシー保護のバランスについて、大きな議論を呼び起こしました。Lavabitの事例は、高度な暗号化技術を持つサービスであっても、政府からの圧力に屈する可能性があることを示唆しています。一方で、レビソンのように、プライバシーを守るために戦う姿勢を示すテクノロジー企業も存在することも示しました。

関連項目

Hushmail
電子メール暗号化
* ProtonMail

もう一度検索