Lavca

業務用通信カラオケシステム「Lavca」：高音質と革新的機能を誇る伝説のカラオケ

2003年4月、タイトーより業務用通信カラオケシステム「Lavca（ラブカ）」が発売されました。これは、タイトーが世界で初めて開発した業務用通信カラオケ「X2000」の後継機種であり、数々の革新的な機能を搭載した、当時としては最先端のカラオケシステムでした。

「カラオケ人口の減少」という逆風の中、「多くの曲を気持ちよく歌える」というユーザー視点に立った開発コンセプトが採用されました。その結果、オリコンチャート上位50位以内の楽曲をほぼ網羅するなど、豊富な楽曲数を誇りました。2008年11月時点での配信楽曲数は7万曲以上と、大手3機種に匹敵する充実のラインナップを展開。さらに、他の機種では配信されていないマニアックな楽曲も数多く取り揃えていたことが特徴です。

タイトーは2006年7月に業務用カラオケ事業を分社化し、株式会社JAXを設立、その後エクシングに事業譲渡、吸収合併されました。「JOYSOUND」ブランドで知られるエクシングは、タイトーと以前から共同開発や楽曲相互提供で提携関係にあった企業です。現在、LavcaおよびX2000シリーズの権利はエクシングが保有しています。

しかし、保守部品の調達困難化に伴い、2011年2月28日受付分をもって保守サービスが終了、同年3月31日には配信サービスも終了しました。そのため、現在では電話回線やブロードバンド回線に接続しても使用することはできません。

Lavcaの技術的特徴と革新的な機能

Lavcaは、その高音質と多彩な機能で多くのユーザーを魅了しました。その秘密は、米Analog Devices社製の高性能DSP「SHARC」と、タイトーが独自に開発した音楽プログラミング言語「Extended Csound」にあります。この組み合わせにより、生楽器のサンプリングを合成したリアルな高音質音源の生成や、様々なリアルタイム音声処理が可能となりました。

Lavcaを象徴する機能として「マイ-」シリーズが挙げられます。これらは全て「Extended Csound」技術によって実現されました。主な機能は以下の通りです。

マイキー: 11種類のキー設定から自分に合ったキーを選んで歌唱でき、どの曲でも登録されたキーで演奏されます。
マイペース: 歌うテンポに合わせて伴奏のテンポを自動調整する機能で、「X2000」の「ズレ補正」機能を進化させたものです。
マイスコア: 歌い手の癖（ビブラート、こぶし、しゃくりなど）を検知し、採点ゲームの加点対象とする機能。現在の高度な採点システムの原型と言えるでしょう。
マイステージ: エフェクトの有無、テロップやルビの使用、伴奏のテンポなど、様々な設定をプリセット登録し、簡単に切り替えられる機能です。
マイパートナー: ガイドボーカル機能。一部楽曲のみ対応していました。

ただし、「X2000」にあったハモリやボイスチェンジ機能はLavcaには搭載されていませんでした。

ハードウェアスペック

Lavcaのハードウェアスペックは以下の通りです。

内蔵ハードディスク容量: 160GB
音声:
DSP: 米・Analog Devices社製「SHARC」
音色数: 2,600色+
同時発音数: 150和音
動画:
シーン: 1,000以上
総量: 内蔵ハードディスク160時間
テロップ:
フォント: 平成明朝体（等幅フォント）
字数: 横全角14.5文字（半角29文字）、ルビ使用時4行（非使用時6行）
総曲数: 70,000曲以上（2008年11月現在）
選曲番号: 上番号1～9999、下番号0～99。DAMやUGAに近い書式ですが、上番号はアーティストごとに分けていませんでした。

ラインナップ

Lavcaのラインナップには、以下の機器が含まれていました。

LVC-1: コマンダー本体
LVA-41: 別売りの4チャンネルデジタルアンプ。ライブ音源に近いサウンドを出力可能でした。
* LVA-1 (キョクNAVI): カラー液晶の選曲表。JOYSOUNDのキョクNAVI「JR-100」をベースに、Lavca向けに最適化されていました。

Lavcaは、その高音質と革新的な機能、そして豊富な楽曲数で、業務用通信カラオケの歴史に大きな足跡を残した機種と言えるでしょう。現在では配信サービスが終了し、その音声を聴くことはできませんが、その存在は多くのカラオケ愛好家の記憶に刻まれています。

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