Leela Zero

Leela Zero（リーラ・ゼロ）

Leela Zeroは、2017年10月25日に公開された自由ソフトウェアのコンピュータ囲碁プログラムです。ベルギーのプログラマー、ジャン＝カーロ・パスクット氏によって開発されました。彼はチェスエンジンSjengや囲碁ソフトLeelaの開発者としても知られています。

概要

Leela Zeroは、DeepMindのAlphaGo Zeroに関する2017年の論文に基づいて開発されました。オリジナルのLeelaが人間による知識や定石を多く組み込んでいるのに対し、Leela Zeroは囲碁の基本的なルールのみがプログラムされています。ニューラルネットワークを持ち、過去の対局結果から学習することで強化される点が特徴です。

Leela Zeroの特筆すべき点は、分散型の協力によって強化されたことです。世界中のコミュニティメンバーが計算資源を提供し、自己対戦による学習結果を新しいニューラルネットワークの強化に利用しました。ピーク時には500以上のクライアントがサーバーに接続し、計算資源を提供していました。また、コミュニティは高品質なプログラムコードの開発にも貢献しました。

特徴

AlphaGo Zero論文に基づく: AlphaGo Zeroの強化学習の手法を参考に、囲碁AIを開発。
人間による知識の排除: 定石などの人間の知識を一切使用せず、囲碁のルールのみを基に学習。
分散コンピューティング: 世界中の有志者が計算資源を提供し、学習を加速。
ニューラルネットワーク: 自己対戦の結果から学習し、棋力を向上。

AlphaGo Zero論文との差異

Leela ZeroはAlphaGo Zeroの論文を参考に開発されましたが、いくつかの違いがあります。

ニューラルネットワークの構造: AlphaGo Zeroが固定のニューラルネットワークを使用していたのに対し、Leela Zeroは徐々にネットワークのサイズを拡大しました。
自己対局の局数: Leela Zeroでは、学習初期段階では直近の25万局の結果を使用し、後に50万局の結果を使用するようになりました。
モンテカルロ木探索（MCTS）シミュレーションの数: 当初はAlphaGo Zeroと同様の1600回でしたが、後に3200回に変更されました。

成績

2018年「貝瑞基因杯2018世界人工知能囲棋大戦」3位
2018年末、ザ・ニューヨーカー誌で「世界で最も成功しているオープンソースの囲碁エンジン」と評価

他の囲碁AIとの協業

Leela Zeroは、MinigoやELF OpenGoといった他の囲碁AIとも積極的に協力しました。

Minigo: Googleの援助を受けたMinigoとは、学習結果やパラメータに関するノウハウを共有しました。
* ELF OpenGo: Facebookが開発したELF OpenGoの学習データを取り込み、Leela Zeroの強化に役立てました。

CGOSでの成績

CGOS（Computer Go Server）では、Leela Zeroの様々なバージョンが登録され、その棋力が評価されています。CGOSでの登録名はLZやLeelaZeroを頭文字にした名前がつけられています。

プロジェクトの終了

2021年2月15日、Leela Zeroの分散トレーニングは終了し、プロジェクトのサーバーも閉鎖されました。

まとめ

Leela Zeroは、AlphaGo Zeroの論文を基に、世界中の協力者による分散コンピューティングを活用して開発された画期的な囲碁プログラムです。強化学習によって急速に棋力を向上させ、他の囲碁AIとの協業も積極的に行いました。プロジェクトは終了しましたが、その成果は今後の囲碁AI研究に大きな影響を与えるでしょう。

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