Long COVID

ロング・コビッドとは

ロング・コビッド（Long COVID）は、新型コロナウイルス（COVID-19）から回復した後に持続する様々な症状を指す用語です。この疾患は、主に呼吸器や神経系、精神面、代謝系、心血管系、消化器系など、多くの臓器に影響を与える可能性があります。特有の症状として、疲労、頭痛、呼吸困難、嗅覚の喪失、認知機能障害などが報告されています。

症状とその影響

ロング・コビッドの症状は、多岐にわたり、回復期においても患者の生活の質を大きく低下させる要因となります。特に、倦怠感と呼ばれる強い疲労感は、多くの患者が3ヶ月以上持続することが観察されています。オックスフォード大学の研究によると、273,618人のCOVID-19生存者の37%が、発症から数ヶ月後に1つ以上の持続症状を経験しています。この持続する症状の数や正確な特性は依然として不明であり、各国で研究が進められています。

日本における認識

日本では、ロング・コビッドは「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状」や「コロナ後遺症」と呼ばれることもあります。これらの用語は、主に感染後の様々な身体的および精神的な症状を示しています。症状の持続や新たな問題の発生は、医療の現場で議論されています。

世界的な定義と分類

世界保健機関（WHO）や各国の医療機関によって、ロング・コビッドの基準定義や分類が提案されています。例えば、英国国立医療技術評価機構（NICE）は、COVID-19からの回復後4週間以上続く症状をロング・コビッドと定義し、さらには各症状の存続期間に基づいて分類を行っています。

危険因子と疫学

ロング・コビッドのリスク要因として、年齢（特に50歳以上）、肥満、喘息などが挙げられます。また、COVID-19感染の初期段階で多くの症状が報告された患者が、ロング・コビッドを発症する可能性が高いことも示されています。疫学的な調査では、軽症から中等症の患者だけでなく、重症の患者も感染後の長期的な症状を報告しています。

医療機関の対応

各国の医療機関は、ロング・コビッドの症状に対し専門クリニックの設立や、適切な治療法を模索しています。特に、英国ではNHSが専門のクリニックを設立し、患者のリハビリや症状管理を行う体制を整えています。さらに、米国やオーストラリアでも診断や治療に関するガイドラインの整備が進められています。

患者の声と取り組み

ロング・コビッドの患者は、SNSを通じて連携し、経験を共有して問題解決に向けた活動を行っています。特に、日本では2023年11月に患者団体「全国コロナ後遺症患者と家族の会」が結成され、治療法の研究や社会的支援を要求する動きが始まっています。

ロング・コビッドはその症状の幅広さから、医療分野において引き続き注目が必要な疾患です。各国の研究が今後の理解を深め、適切な治療法の確立へとつながることが期待されています。

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