Lyrics (小松未歩のアルバム)

小松未歩セレクションアルバム『lyrics』：隠れた名曲の数々

2003年11月26日、GIZA studioより小松未歩のセレクションアルバム『lyrics』（リリックス）がリリースされました。キャッチコピーは『幾百の“ことば”（lyrics）が紡ぐ“恋愛詩集”（Love Ballads）』と、ロマンティックな言葉で飾られています。スリーブケース仕様という、当時のトレンドも反映したパッケージングも魅力的です。

このアルバムは、いわゆる裏ベストアルバムとも呼ばれる選曲となっています。シングル曲のカップリングや、アルバムの収録曲から、特にファンの間で人気が高い楽曲が厳選されています。特に、アルバムのために「My destination...」と「As」の2曲は、新たなミックスで収録されている点が大きな特徴です。これにより、既発曲に新たな魅力が加えられ、新鮮な聴き心地を提供しています。

収録曲は、バラエティに富んだ小松未歩の世界観を堪能できる選曲となっています。代表的な楽曲はもちろんのこと、シングル曲のカップリングとして発表された隠れた名曲も多く含まれており、まさに小松未歩の音楽遍歴を凝縮したような内容と言えるでしょう。

例えば、「ただ傍にいたいの」は4thアルバム『小松未歩 4 〜A thousand feelings〜』収録の人気曲であり、聴く者の心を静かに癒やす名バラードです。「alive」は1stアルバム『謎』からの選曲で、アステル関西CFイメージソングとして親しまれてきました。他にも、「哀しい恋」「雨が降る度に」「BOY FRIEND」「regret」「手ごたえのない愛」「僕らの行方」「commune with you」「One Side Love」「I don't know the truth」「glass」「夢と現実の狭間」など、各アルバムからの選りすぐりの楽曲が収録されています。

注目すべきは、DEENに楽曲提供した「手ごたえのない愛」のセルフカバーが収録されている点です。提供楽曲とは異なるアレンジや解釈によって、小松未歩自身の歌声で表現された「手ごたえのない愛」は、ファンにとって貴重な聴きどころとなっています。また、プレイステーション用デジタルノベル『Lの季節 〜A piece of memories〜』のオープニングテーマや、プレイステーション2用ゲームソフト『Missing Blue』のエンディングテーマも収録されており、ゲームファンにも嬉しい選曲と言えるでしょう。

『lyrics』は、20thシングル「翼はなくても」及び、エッセイ集『ヘンな物さし。』と同時発売されました。しかし、小松未歩の作品全体の中では、売上枚数が最も低い作品という記録も残っています。このことは、アルバムに収録された楽曲の知名度や人気度とは必ずしも一致しないことを示しており、隠れた名曲、再評価されるべき楽曲が数多く含まれていることを裏付けると言えるでしょう。

『lyrics』は、小松未歩の楽曲を深く理解したい、彼女の音楽的魅力を改めて確認したいというファンにとって、必携の一枚と言えるでしょう。新たなミックスで蘇った楽曲と、隠れた名曲の数々を聴くことで、小松未歩の音楽世界をより深く堪能できるはずです。アルバムを通して、小松未歩のソングライティングの才能、そしてボーカリストとしての魅力を再確認できる、そんな作品と言えるのではないでしょうか。

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