M級駆逐艦 (2代)

M級駆逐艦：イギリス海軍の精鋭

M級駆逐艦は、イギリス海軍が1939年から1940年度計画で建造した駆逐艦の艦級であり、L級駆逐艦の小改正型として位置づけられます。全8隻が建造され、その設計は基本的にL級を踏襲していますが、竣工時期が遅れたことから、第二次世界大戦開戦後にL級に施された改正が初期から適用されている点が特徴です。

設計と装備

M級の設計はL級をベースとしており、全長がわずかに拡大された程度で、基本的な構造は同一です。装備面では、L級の後期建造艦のものがほぼそのまま採用されました。主砲としては、50口径12cm砲（QF 4.7インチ砲Mk.XI）を連装のMk.XX砲塔3基に搭載しており、これは最大仰角50度に対応し、個別の俯仰が可能となった新型砲です。射撃指揮装置もL級と同様で、Mk.IV TP方位盤とFKC射撃盤（対空用）、AFCC射撃盤（対水上用）が搭載されました。

特筆すべきは、竣工時期が第二次世界大戦の開始後であったため、戦時中にL級に実施された改正が最初から組み込まれている点です。具体的には、21インチ4連装魚雷発射管を1基搭載する一方で、対空兵装を強化し、45口径10.2cm単装高角砲（QF 4インチ砲Mk.V）および39口径40mm4連装機銃（QF 2ポンド・ポンポン砲）1基を装備しました。また、戦間期に導入されたものの威力が不十分とされた62口径12.7mm機銃を撤去し、信号艦橋の両側に70口径20mm連装機銃2基を搭載しました。

さらに、レーダーの更新も積極的に行われました。早期警戒レーダーは286型から290型へ、そして「ミルン」では1943年の改修で291型へと更新されました。目標捕捉レーダーも272型から276型へと改修されています。これらのレーダー更新に伴う重量増大に対処するため、「マーン」などの艦では前檣がラティス・マストに改造されました。

同型艦と運用

M級駆逐艦のうち、「マラータ」はスコッツ社で建造されましたが、被爆による資料喪失のため、他の艦よりも遅れて竣工しました。同艦は1944年まで本国艦隊に所属した後、地中海に派遣されました。第二次世界大戦中には3隻が失われましたが、残りの5隻のうち、「マスケティーア」は1955年に解体され、他の4隻は1958年にトルコに売却されました。

M級駆逐艦は、その設計と装備のバランスの良さから、第二次世界大戦中のイギリス海軍において重要な役割を果たしました。対空・対水上戦闘の両面で活躍し、連合軍の勝利に貢献しました。

まとめ

M級駆逐艦は、L級の発展型として、戦時中の要求に応じたアップデートが施された駆逐艦です。その設計思想は、後の駆逐艦開発にも大きな影響を与えました。戦後は一部が他国に譲渡されるなど、その生涯は多岐にわたりました。

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