M1 8インチ砲

M1 8インチ砲

M1 8インチ砲は、1944年にアメリカ陸軍が制式化したカノン砲であり、長射程砲として開発されました。

開発の経緯

1940年6月から開発が開始され、最大射程30,600メートルを誇る長射程砲として期待されました。同時期に開発が進められていたM1 240mm榴弾砲と共通の砲架や周辺機材を使用することで、効率的な運用を目指しました。しかし、その重量は240mm榴弾砲よりもさらに過大となり、輸送の制約が大きな課題となりました。

アメリカ軍が開発に際して掲げた条件は、「鉄道輸送以外の手段で、20,000kgまでの2つの部位に分割し、2台の牽引車で路上を時速40kmで牽引できること」でしたが、M1 8インチ砲はこの条件をかろうじて満たすに過ぎませんでした。そのため、運用上の制約が多く、完成した試作砲は射撃精度や砲身寿命の低さといった問題を抱えていました。

生産と運用

このような問題を抱えながらも、M1 8インチ砲は制式化されましたが、大規模な発注は行われず、少数がアメリカ陸軍とイギリス陸軍で運用されたのみでした。設計の改良作業中に終戦を迎えたことも、生産数が伸び悩んだ要因の一つです。

また、M26重戦車の車体をベースにした自走砲、T93 203mm自走カノン砲も開発されましたが、こちらも試作に終わっています。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、アメリカ軍は8インチ(203mm)重砲として、M115 203mm榴弾砲の長砲身化を目指す方針を決定しました。そのため、M1 8インチ砲の改良計画は打ち切られ、第二次世界大戦後早期に退役しました。

諸元

種別：攻城砲'>[カノン砲]
口径：203mm（8in）
砲身長：10,160mm(33ft 4in)（50口径）
重量：31,400kg(69,300lb)
全幅：2.790mm
砲員数：14名
俯仰角：最低＋10度、最高＋50度
旋回角：左右30度(40度／改良後)
初速：870m/s(2,840ft/s)
有効射程: 20100m(12.5mile)
最大射程：32570m(20.24mile)
発射速度：30発/時（持続）
弾薬：分離装薬式

運用史

開発国：アメリカ合衆国
生産期間：1944年－1945年

関連項目

カノン砲
M1 240mm榴弾砲
M6 高速牽引車

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