M100 (天体)

M100は、かみのけ座に輝く美しい渦巻銀河で、天体カタログではNGC 4321としても知られています。広大なおとめ座銀河団に属する主要な銀河の一つです。形状としては同じおとめ座銀河団に属するM99に類似していますが、渦巻きの方向が逆であることが特徴として挙げられます。

アマチュア向けの望遠鏡を用いた観測では、その口径によって見え方が大きく変わる興味深い天体です。例えば、口径6cm程度の小型望遠鏡では、M100はぼんやりとした丸い星雲状の光斑として捉えられます。口径10cmクラスになると、中心部に星のように明るい核があり、それを淡い星雲状の部分が取り巻いている様子が確認できるようになります。かつてマラスはこの口径で観測し、渦巻銀河M33のミニチュアを思わせると記録しています。

さらに大きな口径20cmの望遠鏡では、スミスが記述したような、中心から周囲へ滑らかに明るさが変化する球状星団を思わせる姿が見えてきます。また、空の条件が非常に良ければ、渦巻きの兆候や腕の一部を確認することも可能になります。口径が30cmクラスになると、渦巻銀河の腕構造がより明確に識別できるようになり、その複雑な形状を詳細に観察できます。M100の近くには、NGC 4328のような他の銀河も視野に入ってくることがあります。

M100の観測史は古く、この天体は1781年3月15日にフランスの天文学者ピエール・メシャンによって発見されました。興味深いことに、同じ日にはM98とM99もメシャンによって発見されています。彼の発見を受けてカタログに収録したシャルル・メシエは、M100を「星のない星雲」と記述し、アンドロメダ銀河の付属銀河（アンドロメダの耳）と同程度の明るさであるとしつつも、M98やM99と同様に非常に淡く、好条件の時や子午線通過のタイミングでなければ観測が困難であると記しています。

後の観測者たちは、より詳細な描写を残しています。ジョン・ハーシェルはM100の中心部が明るく、まるで星の集まりのように見えると感じたようです。スミスは「真珠色」と表現し、中心に向かって明るさを増す様子から球状星団を連想し、視野の周囲に小さな星や微光点が見えることも記録しています。ロス卿は、M100が渦状の構造を持ち、中心部が明るく光る様子が惑星状星雲のようだと述べています。そして、写真技術が登場すると、ロベールによってM100が明確な渦状星雲であることが写真に捉えられ、その構造が確固たるものとなりました。

また、M100銀河内では超新星の出現も観測されています。1901年と1914年には、14等級程度の超新星が写真乾板に記録され、これらの超新星は1917年にカーティスによって確認されました。これらの超新星の観測は、M100までの距離を測定する上でも重要なデータとなります。M100は、古くから多くの天文学者によって観測され、その見え方や構造、そして銀河内で起こる現象を通じて、宇宙の理解を深める上で貢献してきた天体と言えるでしょう。

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