M104ウルヴァリン

M104 ウルヴァリン重突撃橋

M104 ウルヴァリン重突撃橋は、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズが製造した装甲戦闘工兵車両です。戦場において迅速に展開可能な架橋能力を提供し、部隊の機動力を支援します。

開発の背景

アメリカ陸軍は長年、M60パットン戦車をベースとした装甲架橋車両を使用していました。しかし、M60 AVLBは速度が遅く、M1エイブラムス戦車に追随できませんでした。また、M1エイブラムスは重量が大きいため、M60 AVLBの橋を安全に渡るには速度を大幅に落とす必要がありました。

そこで、新型の装甲架橋車両の導入計画が1983年に始まりました。1994年、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズとドイツのMAN機動橋GmbH（現クラウス＝マファイ・ヴェクマン）が契約を結びました。1996年に最初の試作車両が試験を受け、2003年に初の量産型が配備されました。

詳細

M104は、M1A2SEPエイブラムス戦車から砲塔を取り外し、代わりに橋梁展開装置を搭載した車両です。M1エイブラムスの車台を使用しているため、M1エイブラムスと同等の速度、機動性、生存性、輸送性を有しています。この共通性は、M104の開発における重要な設計要素でした。また、M104は、地域の指揮官との連携を維持するための高度な通信システムを備えています。ただし、M104自体には武装は搭載されていません。

M104は、車内の2名の乗員によって操作されます。乗員は、橋梁の展開作業に携わります。橋梁は2つの部分に分かれて車体に搭載されており、架橋場所が決まると、車両は駐鋤で固定されます。2つの橋梁部分は連結され、障害物を越えて展開されます。乗員は必要に応じて微調整を行うことができます。架橋後、M104は橋を渡り、反対側から同様の手順で橋梁を回収します。架橋作業は5分以内、回収作業は10分以内に行うことができます。乗員は、すべての作業を車内から安全に行うことができます。

展開された全長26mのLEGUAN橋は、70トンの車両が時速16kmで通過しても支えることができます。これにより、M104は最も重い車両でも、クレーター、塹壕、損傷した橋を迂回し、戦闘速度で前進させることができます。この機動力は、機甲部隊にとって決定的な優位性となります。

M104の将来

アメリカ陸軍は44両のM104を受領し、一部の工兵部隊に配備しました。当初は465両を調達する予定でしたが、予算削減と近年の戦術思想の変化により、軽量な戦闘部隊が重視されるようになったため、計画の将来は不確実になっています。

アメリカ陸軍は、M104の追加購入計画はありませんが、必要に応じて生産を再開する権利を留保しています。しかし、2016年にM1074統合突撃橋が採用されたことにより、M104の大量生産は事実上終了しました。M1074はM104と同じM1エイブラムスの車台を使用していますが、M104よりも低コストであり、2019年以降に大量配備が開始されています。

参考文献

M104 Wolverine

関連項目

M1エイブラムス
架橋戦車
M60 AVLB
M1074統合突撃橋

外部リンク

M104 Wolverine

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