M110狙撃銃

M110 SASS（M110 Semi Automatic Sniper System）について

M110 SASSは、アメリカのナイツアーマメント社によって設計され、アメリカ陸軍に採用されたセミオート式スナイパーライフルです。このライフルは、特にイラク戦争における市街戦の頻発を受けて開発されたもので、従来のボルトアクション式の狙撃銃に代わって填め込まれることとなりました。実用面でのニーズに応えるべく、連射速度を高めるセミオート方式が求められたのです。

開発背景

従来のボルトアクション狙撃銃は、敵との接触が近距離だった場合に命中精度は優れていますが、連射の遅さから不利な面がありました。特に、敵勢力が使用していたドラグノフ半自動狙撃銃に対抗するため、アメリカ陸軍の前線部隊は高精度の自動小銃としてセミオート式スナイパーライフルを求めました。そこで、ナイツアーマメント社が開発したSR-25自動小銃を基にしたMk.11狙撃銃を改良する形でXM110 SASS（後のM110 SASS）が誕生しました。

XM110は2005年に最終選考をクリアし、2007年には実用試験を経て、初めてアフガニスタンで実戦投入されました。その後、約4,400丁が軍に配備されました。

特徴

M110は、全体的な構造はAR-10の要素を持ちながらも、AR-15と60%の部品が互換性のある独自の設計がなされています。銃身は20インチ（508mm）のマッチグレードで、フリーフローティング構造により射撃精度は非常に高い0.75MOAを実現しています。また、MIL-STD-1913規格のピカティニーレールが搭載されており、さまざまなオプションパーツを装着可能です。光学照準器はLeupold製のものが標準で採用されており、高い視認性を提供します。

Mk.11との違い

以前のMk.11とは異なり、M110では部品の設計が見直され、特にサプレッサー対応やレールシステムなどが改善されています。また、銃床は全体として固定式ですが、調節機能も備えていて射撃時の安定性を高めています。このような設計の工夫により、M110は今までの狙撃銃と比較して優れた使用感を実現しています。

M110A1とM110A2

2011年に部隊からのフィードバックを基にM110の改良計画が始まり、2016年にはH&K社のG28が後継として採用されることとなり、M110A1が正式に制式採用されました。M110A1はガスピストン式に変更されたことから動作不良が大幅に減少しました。さらに、M110A2が開発され、M-LOKレールや新型サプレッサー、調整可能な銃床が特徴となっています。

これらのライフルは、特に近接戦闘においてその性能を発揮し、アメリカの軍事作戦において欠かせない装備となっています。M110 SASS及びその後継機種は、精度と信頼性を兼ね備えた重要な武器として、今後も活躍が期待されます。

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