M2 (天体)

球状星団M2（NGC 7089）

みずがめ座の領域に輝く球状星団M2（メシエ2、NGC 7089）は、遠く地球から約37500光年の距離に位置する、壮大な恒星の集合体です。その直径は約175光年に及び、およそ15万個もの星々が密集して存在しています。この星団は、その年齢がおよそ130億歳と推定されており、これは宇宙誕生から比較的間もない時期に形成されたことを示唆しています。特に、他の有名な球状星団M3やM5と同程度の年齢であることから、銀河系が形成された頃に誕生した可能性が考えられています。

特徴

M2は、天文学的な分類において、中心部の星の密集度が非常に高いクラスIIに位置づけられています。観測機器によってその見え方は大きく変わります。

一般的な7×50の双眼鏡で見ると、M2は恒星とは異なる、周辺がぼやけた光のしみのように見えます。しかし、口径が10cmに満たない小型の望遠鏡では、個々の星を分離して観測することは困難です。

一方、口径20cmクラスの望遠鏡を使用すると、空の条件が良好であれば、多くの星が鮮明に分離され、立体感のある美しいボール状に見えてきます。さらに詳細に観察を進めると、星団の外縁部が南北でわずかに非対称であることや、縁の部分に特に明るい星の光の集まりが見られることに気づくでしょう。また、星団の中心部からは、まるでクモの巣のように星の列を伴った影のような構造が伸びている様子が、複数の観測者によって記録されています。星団の近くにある10等星と中心部を結ぶ線上に見える影は、特に目を引く特徴の一つです。

M2を構成する星の中でも、最も明るく見えるのは13.1等級の黄色巨星や赤色巨星です。これに対し、水平分枝に位置する星は16.1等級程度の明るさです。

この星団内では、これまでに42個の変光星が発見されています。その大半を占める38個は、周期的に明るさを変えること座RR型変光星です。その他に、3個のおとめ座W型変光星と、1個のおうし座RV型変光星が見つかっています。

観測史

M2は、1746年9月11日にフランスの天文学者ジャン・ドミニク・マラルディによって偶然発見されました。彼は当時、彗星C/1746 P1を観測しており、その際にこの球状星団を見つけました。マラルディはその後、わずか5日後に別の球状星団M15も発見しましたが、彼が生涯に発見したメシエ天体はこの二つだけでした。

マラルディはM2について、「まるく、周辺が明らかで、中心部が4分から5分角にわたって広がっている。かなりの間隔を置いて周囲に微かな星が見える。そこに小さく白く見えている点は、小口径では識別できないほど微細な星々の集まりであろう」と記録しています。

マラルディの発見からちょうど14年後の1760年9月11日、シャルル・メシエがM2を再発見し、自身の有名な天体カタログに登録しました。メシエはこれを「星雲であり、星ではない。中心部は非常に明るく輝き、まるく光に包まれている。彗星の核のようだ」と表現しました。

その後、ウィリアム・ハーシェルは望遠鏡を用いてM2を初めて個々の星に分離して観測し、「極端な星の集合であり、すばらしい微星の集まりだ」と評しました。ウィリアム・ヘンリー・スミスは、この星団を「きれいで優雅な球状星団。中心部が密集して真に美しい球体を形作っている。この星団の世界に広がる、生き生きとした無数の星々を想像せずにはいられない」と称賛しました。

また、ロス卿はM2の特徴的な構造に注目し、「星が枝のように連なり、直角方向に伸びている」と記述し、星が周辺部で連なり伸びている様子を捉えたスケッチを残しています。これらの歴史的な観測記録は、M2が時代を超えて観測者の関心を惹きつけてきた魅力的な天体であることを物語っています。

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