M21 (天体)

いて座の散開星団M21 (NGC 6531)

M21（NGC 6531）は、南天の星座であるいて座に位置する散開星団です。天の川の中にあり、有名な三裂星雲（M20）や干潟星雲（M8）といった星雲の近くに位置しています。

特徴と見え方

M21は比較的若い星団であり、青く輝く星々が多く含まれているのが特徴です。ただし、星団全体として、特に明るい恒星はそれほど多くありません。具体的には、視等級が8等程度の星が1個、9等程度の星が4個数えられる程度です。星団を構成する個々の星は、小口径の望遠鏡を使えば50個ほどを確認できます。

観測条件が非常に良好であれば、M21は肉眼でも淡い光点として捉えられることがあります。双眼鏡を用いると、数個の星がコンパクトにまとまって見える姿を楽しむことができます。このとき、M20やM8といった周囲の明るい天体と同じ視野内に捉えられることが多く、M21がこれらの天体群の北端に位置していることが分かります。

口径10cmクラスの望遠鏡を使うと、M21は星団らしい姿、つまり星々が分散して集まっている様子をはっきりと見せてくれます。星団の中心付近には、特徴的な三角形の星の配列が見られます。この三角形を起点として、星団の全体構造をゆるやかな渦巻き状に認識する観測者もいます。

また、M20を基点とし、その北側に位置するM21を頂点とする星の並びは、「ウェッブの十字架」という愛称で知られています。これは、腕が少し曲がったような独特な十字形を成す星のグループとして認識されており、周辺の他の星々とは区別しやすい特徴となっています。

観測史

M21は、1764年6月5日にフランスの天文学者シャルル・メシエによって初めてカタログに記載されました。彼は自身の発見について、「先行するM20（三裂星雲）の近くに位置する星団で、最も近い既知の恒星はいずれもいて座11番星である」と記しています。また、メシエは「これら二つの星団（M20とM21）は、8等ないし9等程度の星を含み、何らかの星雲状の物質に包まれているように見える」とも観察しています。

メシエが触れた「星雲状の物質」について、後のイギリスの天文学者ウィリアム・ヘンリー・スミスは、それは個々の星が非常に小さく密集しているために星雲のように見えたものであり、「微星の集合を指している」と解釈しています。

さらに時代が下り、ジョン・ハーシェルは自身のジェネラルカタログにおいてM21を「非常に多数の星から構成されているものの、星々の集まり方は比較的まばらな星団」と記述しています。彼によれば、この星団を構成する星の明るさは「9等星から12等星程度」であるとされています。

その他

M21は、メシエが編纂した有名な天体カタログ、「メシエカタログ」に21番目の天体として登録されています。

もう一度検索