M21狙撃銃

M21狙撃銃の概要

M21狙撃銃（M21 Sniper Weapon SystemまたはRifle, 7.62 mm, Sniper, M21）は、アメリカ陸軍が1960年代に開発した半自動式の狙撃銃の一つです。この銃はM14自動小銃の派生型として設計され、その主な目的は狙撃における精度や信頼性の向上にありました。

開発の背景

ベトナム戦争の最中、アメリカ陸軍は新型の狙撃銃を調達する必要がありました。当時の主力銃であったM14は精度や信頼性が高く評価されていましたが、これに更なる改良を加えた狙撃銃が求められていました。1969年、ロックアイランド兵器廠では、1,435丁のM14のナショナルマッチ・モデルをベースに改修を行い、XM21という仮制式名で呼ばれるモデルが誕生しました。

特徴

XM21は、3-9x倍率調整が可能なレザーウッド製スコープを搭載し、M14とは異なるクルミ材の銃床を持ち、競技用弾薬が支給されました。このモデルは初めて1975年に正式採用されたM21として運用され、主に1988年まで米軍の狙撃銃として使用され続けました。M21の重量はスコープを除いて約5.27kgで、通常は20発の着脱式弾倉を使用します。また、5発および10発の弾倉も存在しています。

M21に派生した改良型として、スミス・エンタープライズ社が開発したM21A5が存在します。M21A5は、「クレイジーホース・ライフル」として知られ、特に低温環境での使用を想定し、調整が不要な部品設計が特徴です。

M25狙撃銃の登場

M21を基にしたM25狙撃銃は、1980年代に特殊部隊用に開発され、特にグリーンベレーやネイビー・シールズでの運用を想定しました。砂漠の嵐作戦では初めて実戦に投入されたことが報告されています。

軍事的運用と長い歴史

XM21とM21は、ベトナム戦争から1980年代までの様々な作戦に使用されました。特に1983年のグレナダ侵攻では、米陸軍レンジャー部隊によってM21が運用され、多くの部隊にとって重要な武器となりました。また、陸軍州兵や統合即応訓練センターでも利用されており、少数派ではありましたが一般的に使用されていました。M21の運用は1990年代まで続きました。

民間市場への展開

M21の要素を取り入れた民生用モデルはスプリングフィールド・アーモリー社から発表され、M21タクティカルライフルやM25ホワイトフェザータクティカルなどが製造されています。これらのモデルはM21やM25を元にしていますが、ピカティニー・レールなどの外観上の違いがあります。

まとめ

運用期間が長かったM21狙撃銃は、半自動半狙撃銃の代表的な存在であり、今日においてもその技術が後の狙撃銃へと受け継がれています。アメリカ軍の狙撃銃の歴史において、M21は重要かつ象徴的なモデルの一つと言えるでしょう。

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