M44 155mm自走榴弾砲

M44 155mm自走榴弾砲

M44 155mm自走榴弾砲は、戦後にアメリカ合衆国で設計された自走榴弾砲であり、戦闘部隊の機動性を向上させる目的で開発が進められました。本車両は、戦後第一世代に位置づけられるもので、アメリカ陸軍の装備として広く採用されました。

開発の背景

この自走榴弾砲はM52A1 105mm自走榴弾砲と同じプラットフォームを基にしており、機動性の向上を図るために設計されました。1947年9月にはT99の名称で開発が始まりました。当初は全周旋回砲塔に155mm榴弾砲 T7を搭載することを予定していましたが、車体の設計上150mmクラスの砲塔は搭載不可能であったため、方針が変更されました。

開発途中で、砲塔は限定的な旋回が可能なスタイルへと改められました。また、照準装置には機械式計算装置との連動機能が追加され、改良型のT99E1が開発されますが、最終的には伝統的な視認式の照準装置を備えた原型車がM44として採用されました。その後、250両が発注されますが、試作段階で様々な不具合が発生しました。これを受けて、主砲は155mm榴弾砲 T7に変更され、開放式戦闘室に改修された新たなモデルT149が258両発注されます。そして、その改修型やT99改修型を合算して1953年11月にM44が正式化されました。

運用と退役

1954年には部隊への配備が開始され、アメリカ陸軍の主力自走榴弾砲として活躍しました。しかし、1962年には後継となるM109自走榴弾砲に置き換えられ、全車が退役しました。この間、M44は多くの国々に供与され、日本の陸上自衛隊においても使用されていました。

特に、陸上自衛隊では1965年からM44A1として10両がアメリカから供与され、主に第7師団で運用されていました。しかし、後に75式自走155mmりゅう弾砲に置き換えられて、1986年には全車退役を迎えました。

設計特徴

M44の車体は、M41 ウォーカー・ブルドッグ軽戦車を基にし、M52自走榴弾砲と共通の車体が使用されています。オープントップの戦闘室に砲架が設置され、操縦席は左前部に配され、観音開き式の扉を持つ戦闘室の後面は、弾薬ラックとしての機能も兼ねています。この設計により、車体が小型であるにもかかわらず、大口径の大砲の搭載が可能になっています。

各型と採用国

M44にはさまざまな型が存在し、その中にはT99、T149、M44A1、さらにはトルコによるM44Tのような近代化改修型も含まれます。M44はアメリカ軍のみならず、イギリスや西ドイツなどの西側諸国でも装備され、広範囲にわたってその存在感を示しました。また、登場ゲームとしては『World of Tanks』にアメリカ自走砲M44として登場しています。

このように、M44 155mm自走榴弾砲は時代を超えて愛され、多くの国でその能力を発揮しました。

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