M45重戦車

M45重戦車

M45重戦車は、第二次世界大戦中にアメリカで開発された、M26パーシング中戦車をベースとした派生型です。 主な特徴は、105mm榴弾砲M4を搭載している点にあります。

開発経緯

第二次世界大戦中、アメリカ陸軍はM4シャーマン戦車に105mm榴弾砲を搭載した火力支援型を実戦投入し、歩兵支援や敵陣突破に貢献していました。この成功を受け、1944年にはT23中戦車にも同様の派生型が76両要求されました。

しかし、T23の機関系に信頼性の問題があったため、まずは試作車を製作し試験を行う計画となりました。さらに、装甲強化を図った改良型であるT26E1中戦車（後のパーシング）の開発が進められるにつれて、火力支援型の計画もT26E1の105mm榴弾砲搭載型へと変更されました。T26E1の火力支援型の開発開始時期は明確にはされていません。

1944年10月、ゼネラルモーターズ社のグランドブランク工廠とクライスラー社のデトロイト工廠に対し、「T26E2」の試作名称で105mm榴弾砲M4を搭載するための図面が送付されました。モックアップが審査を通過し、生産が開始されたものの、M26パーシングの生産が優先されたことや、ドイツの降伏などにより、生産数は185両に留まりました。

実戦での運用

M45が実戦で使用されたのは、朝鮮戦争中の洛東江防御線が唯一の例です。アメリカ海兵隊第24師団第6戦車大隊に所属する6両のM45が北朝鮮軍に対して投入されました。

しかし、M45は機関系の故障が頻発した上、朝鮮半島の地形に合わないという問題がありました。具体的には、狭い山道が多く、M45の出力不足が機動力の低下を招いたのです。さらに、105mm榴弾砲を搭載したM4シャーマンが既に朝鮮半島全域で使用されていたことも、M45の存在意義を薄める要因となりました。

戦局が安定した1951年1月、配備されていた6両のうち4両がアメリカ本国へ送り返され、残りの2両は廃棄処分となり、東豆川市に運ばれました。

その後

陸軍はM45がM26パーシングと同様の稼働率問題を抱えていたことから、「105mm砲搭載のシャーマンの方が戦略的に有用である」と判断し、残存していたM45を全てM26A1へと改修しました。そのため、現存する車両は存在しません。

参考文献

「パンツァー2006年10月号　アメリカ陸軍 T25／T26試作中戦車」アルゴノート社
「グランドパワー2015年3月号　M26重戦車シリーズ(1) M26／M46の開発と構造&派生型」ガリレオ出版
「グランドパワー2002年11月号　M26重戦車パーシング(1)」デルタ出版
「グランドパワー2002年12月号　M26重戦車パーシング(2)」デルタ出版

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