M47 (天体)

M47星団 (NGC 2422)

とも座に位置する散開星団M47（NGC 2422）は、冬の夜空に輝く、比較的見つけやすい天体の一つです。多くの若い星々から構成されており、私たちの銀河系に属しています。

概要

M47は、冬の天の川が淡く広がる領域に見られ、良好な観測条件下では肉眼でもその存在を確認できます。ただし、一つ一つの星を見分けるのは難しく、多くの場合、ぼんやりとした光の集まりとして目に映ります。

双眼鏡で観察すると、その印象は大きく変わります。いくつかの明るい星が特徴的な三角形のパターンを形成しているのが明確に捉えられます。M47は、すぐ近くにある散開星団M46と並んで位置しています。M46が微かな多数の星で構成され、星雲状に見えるのに対し、M47は明るい星がまばらに散らばっており、その外観は対照的です。この近接し、かつ規模が似通った二つの星団は、「南天の二重星団」と称されることもあります。M47の、明るい星が散開した「荒々しい」とも評される見た目は、「男性的」な印象を与えると言われることもあります。

口径10cmクラスの望遠鏡を用いると、星団内の星々の中に色の違いがあるのが見え始めます。さらに大きな口径20cmの望遠鏡で観察すると、明るい星の並びが特定のパターンを形成しているのが分かります。天文学者ジョーンズは、この星の配列がオリオン座の姿をミニチュアにしたかのようだ、と表現しています。

M47の周辺にも興味深い星団が見られます。M47の北へ約1度には散開星団NGC 2423が、さらに約2.5度北には散開星団Mel 71があります。これらの星団は、焦点距離200mm程度の望遠レンズを使えば、M47と共に同一視野に収めることも可能です。

観測史

M47の発見は、少し複雑な経緯をたどっています。イタリアの天文学者ジョヴァンニ・バッティスタ・オディエルナは、メシエよりも早い1654年以前に既にこの星団を発見していたとされていますが、彼の観測記録が広く知られるようになったのは1984年になってからです。

一般的には、フランスの天文学者シャルル・メシエが1771年2月19日に独立して発見したとされています。彼はこの星団が隣接するM46よりも明るいと記録しました。しかし、メシエはM47の位置（座標）を計算する際に、符号を取り違えるという誤りを犯してしまいます。この計算ミスにより、M47はメシエカタログ上の位置では見つからず、長らく「失われた天体」となっていました。この誤りが訂正され、M47の本来の姿が明らかになったのは、アマチュア天文学者のT.F. モリスが1959年にメシエの誤りを発見し、修正を行ったことによります。

メシエの座標計算ミスについては、M48という別の星団と混同したのではないかという説も存在します。

メシエのカタログ上の誤りからM47が見かけ上「失われていた」時期があったため、イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルは1785年2月4日に、メシエとは別にこの星団を発見し、自身のカタログにH VIII.38として記録しました。興味深いことに、ウィリアムの妹で共同研究者だったカロライン・ハーシェルは、メシエのカタログ上の誤りがあるにもかかわらず、1783年までに少なくとも2回M47を観測しており、それをM47として正しく認識していたとされています。

このように、M47はその明るく目立つ姿とは裏腹に、発見から記録、そして訂正に至るまで、天文学者たちのユニークなエピソードが絡み合った興味深い歴史を持っています。

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