M7 (天体)

M7（トレミー星団）

M7（NGC 6475）は、さそり座の尾部に位置する著名な散開星団です。この星団は非常に明るく、晴れた夜には特別な観測器具を用いずとも肉眼で見つけることができます。その存在は古くから知られており、紀元2世紀の天文学者プトレマイオス（トレミー）が記録に残していることから、「トレミー星団」という愛称で親しまれています。

概要

M7は、地球からおよそ800光年という距離に位置しています。この星団は空間的に約18光年から20光年の範囲に広がっており、その内部には視等級が10等よりも明るい恒星がおよそ80個集まっていると考えられています。星団のすぐ南側には、星の光を遮る暗黒星雲、バーナード287が存在しており、双眼鏡で観測すると、M7の明るさとバーナード287の暗さとのコントラストが確認できます。

M7は、恒星が密集する天の川銀河の中でも、特に星の密度が高い領域に属しています。肉眼で眺めると、ぼんやりとした光の塊、あるいは小さな星雲のように見えますが、視力が良い人であれば、いくつかの明るい星を判別することも可能です。また、興味深いことに、完全な暗闇よりも、空に半月程度の月明かりがある方が、かえって肉眼で個々の星を見分けやすいと感じる観測者もいるようです。

双眼鏡を用いると、M7は隣接する散開星団M6と同時に視野に捉えることができます。望遠鏡で観測する際は、星団全体を視野に収めるために、低倍率での観察が適しています。M6と比較すると、M7は全体的により明るく、構成する星も黄色みを帯びて見える傾向があります。一方、M6は周囲が比較的暗く、青白い星が多いとされています。また、見かけ上では、M6よりもM7の方が星が密に集まっているように映ります。

M7は、フランスの天文学者シャルル・メシエが作成した有名な天体カタログに登録された天体（メシエ天体）の中で、最も天の南極寄りに位置しています。

観測の歴史

M7は、望遠鏡が発明されるよりもずっと前から人々に認識されていました。紀元130年頃、プトレマイオスは「さそりの針に続く星雲」として、この天体の存在を記述しています。

17世紀に入ると、イタリアの天文学者ジョヴァンニ・バッティスタ・オディエルナは、1654年以前にこの星団を観測し、その中に30個の星を確認したと記録に残しています。

18世紀には、南アフリカの喜望峰で天体観測を行ったニコラ・ルイ・ド・ラカーユがM7を観測し、「正方形の中に集まった15個から20個の星の群れ」としてその特徴を書き残しています。

さらに時代が進み、19世紀の天文学者ジョン・ハーシェルは、1864年に自身の星団・星雲カタログを作成する際に、M7を「非常に明るく、多数の星からなり、集まりがゆるやかな、7等級から12等級の星々」と記述しています。

これらの記録は、M7が古くから天文学者の関心を引き、時代とともにその詳細な構造が明らかにされていった過程を示しています。

関連項目

メシエカタログ
散開星団
* さそり座

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