MAS 49半自動小銃

MAS-49小銃：フランスが生んだ信頼のセミオートライフル

MAS-49小銃は、第二次世界大戦後、フランス軍の主力小銃として活躍したセミオートマチックライフルです。前身であるMAS-36ボルトアクション小銃の後継として、サン＝テティエンヌ造兵廠(MAS)で設計されました。

開発の背景

第一次世界大戦からの復興を目指すフランス軍は、小火器開発の遅れを取り戻すべく、自動小銃の開発を急務としていました。戦前からMAS-38/39、MAS-40、MAS-44といった試作銃を開発し、作動機構の研究を重ね、MAS-44を基にMAS-49が開発され、1949年に制式採用、1951年から量産が開始されました。

実戦での活躍

MAS-49は、MAT 49短機関銃やAA-52汎用機関銃と共に、第一次インドシナ戦争、アルジェリア独立戦争、スエズ動乱などの紛争で使用されました。特にフランス外人部隊での信頼は厚く、整備を殆ど行わなくても確実な作動が期待できるほどでした。インドシナやアルジェリア、ジブチ、フランス領ギアナといった過酷な環境下でも、作動不良の報告が殆どなかったことが、その信頼性の高さを物語っています。

改良型MAS-49/56

その後の戦訓から、改良型のMAS-49/56が登場しました。銃身の短縮、ハンドガード前部の除去による軽量化・短小化、スパイク式から短剣式への銃剣変更、ライフルグレネード発射用のフラッシュハイダーと照準器の標準装備などが主な変更点です。

構造と特徴

MAS-49は、7.5mm×54弾薬を使用します。作動方式は、発射ガスを直接ボルトキャリアーに吹き付けるガス直接噴射式（ダイレクト・インピンジメント式）を採用しています。この方式は、ボルト本体への汚れの堆積を防ぐという利点があります。

ボルト閉鎖機構は、ティルトボルト式を採用しています。銃身はフリーフローティング式で装着されており、命中精度に貢献しています。装弾は10連発の箱型マガジンを使用し、最終弾発射後にはボルトが後退状態で停止するようになっています。レシーバー上面にはクリップ装填用のガイドが残されており、クリップを使った装填も可能です。

MAS-49/56では、ハンドガード前端にガスカットオフスイッチが追加され、ライフルグレネードの発射に対応しました。グレネードの射距離は、照準器の目盛りと引き起こし角度、グレネードの挿入深度によって調整可能です。また、レシーバー左側には照準器を取り付けるためのレールが設けられています。

その後

MAS-49およびMAS-49/56は、1979年に5.56mm NATO弾を使用するFA-MASに更新されるまで、約28年間フランス軍で使用され続けました。生産終了後も、1990年代まで一部で使用され、250丁ほどのMAS-49/56が7.62mm NATO弾仕様に改造され、フランス警察に納入されました。

生産数はMAS-49が20,600丁、MAS-49/56が275,240丁で、改良型のMAS-49/56が生産数の大半を占めています。

まとめ

MAS-49は、フランス軍の小火器開発史における重要な位置を占める自動小銃です。その信頼性の高さと独特の構造は、多くの兵士に愛され、様々な紛争で活躍しました。

関連項目

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小銃
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